亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金底打ちとDXY上げ一巡  

2022年07月20日 20時05分56秒 | 金市場

先週は米6月のCPI 9.1%上昇を受け一気に高まった7月FOMC100ベーシスポイント(bp、1.00%)利上げ観測に対し、FRBタカ派(いまや全員タカ派だが)のウォラー理事とセントルイス連銀ブラード総裁が、慌てて火消しに回り、市場の過剰反応は食い止められることになった。

6月さらに7月と75bpの連続利上げで、ガツン!と消費者センチメントを叩き、FRBの本気度を試そうとしたものと思われる。ここまで、当初の想定から大きく上振れる引き締めにギアを上げてきたFRBだが、おそらく株式市場がそれほど崩れていないことに胸を撫でおろしているのだろう。 6月のFOMC議事要旨では、これ以上緩慢なスタンスを取っているとFRBの信認失墜につながるとの危機感が記されていた。おそらく株や住宅など資産市場が一定の安定を保っているなら、一気に長期中立金利(2.5%)を越えるところまで政策金利を引き上げ、反応を見つつ 指標の結果に応じ政策進行は臨機応変にということか。

そこに100bpの利上げなどやって、無用の混乱を起こす必要はないし、むしろそれは効きすぎ(over-kill)に至る可能性が高いとの判断がある。

 

今週から発言を控えるブラックアウト期間に入っているので、FRBからのメッセージは届かないが、その分、明日21日の欧州中銀(ECB)がどんなメッセージを出すか。

ここまでひたすら下値を追うユーロドルに沿って上げ続けたドル指数(DXY)。それに沿って金市場で売りを出すファンドのプログラム。7月14日にDXYが109.294と2002年9月以来20年ぶりの高値をつけたその日に1695ドルのザラバ安値を付けたNY金。その後DXYの上昇に一巡感が出たところで、NY金の動きも落ち着いた。

FRBの引き締め策の加速は、先ほど書いたようにセンチメントの牽制が狙いであるならば、タカ派傾斜も一巡ということになり、次は相手側のECBはじめ他中銀の出方次第ということになる。明日のECBは当初見通しの25bpから50bpに利上げ幅を上げるとの話もある。先月、ポルトガルの保養地シントラのシンポジウムで、「インフレは解き放たれた」と発言していたラガルド総裁が、政策会合終了後の記者会見でどう語るか。いずれにしてもDXYの上昇も一巡と思うが、どうなるか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 内外金は押し目買いの時間帯 | トップ | 全米トップの公的年金の損失... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事