今少し時間的余裕があるかな、と思っていたイタリア債が本日急落している。ECBによる買い支えが指摘されてきたが、あっさり7%を突破。きっかけとしては各種報道が同じ内容を流しているが、欧州の証券決済機関であるLCHクリアネットがイタリア債の取引に際しての証拠金の引き上げを発表、それが売りの引き金を引いたとされる。意味するのは、イタリア国債の信用度が落ちたということ。もともと債務の規模がGDPの140%、1.9兆ユーロと大きいところにもってきて、政局の流動化などから返済能力に疑問が生まれたところに、取引コストも急に引き上げられたことが、堰を切ったような売りに襲われたようだ。前日比プラスで始まっていた欧州株は一転して急落商状に。ユーロも同じく。反対側でドルが買われたが、その際に金市場では警戒感から売りが見られ1770ドル台に沈んだが、その後復活で22時40分時点で1790ドル台後半へと買い戻されている。8日にはまたETFが8.5トンほど増えたが、これで3営業日連続の増加となった。合計で約20トンの増加。ユーロ圏では銀行預金を引き出し、金を買う動きが見られているとのこと。
国債利回りの7%突破で事実上イタリアへの延焼が避けられなかったことになる。このところユーロ圏がもっとも避けたかった事態で、それゆえG20サミットに際しイタリアに対しIMFへの支援要請を促すという一幕があったとされた。いまだにEFSFの拡充策の具体策すら示すことのできない現状に対し、市場が断を下したというところだ。パニック的な市場の動きが始まるとなると、金市場でも換金売りが・・・・というのが9月のパターンだが、そうした流れを作ったファンドは手仕舞いが終わっており、内部要因からは大規模な雪崩が起きる可能性は2ヵ月前より小さくなっている。
日本時間の23時30分からバーナンキ議長の講演が予定されている。かかる環境の中で、現状に対する言及はあるのか否か。発言内容が材料視される可能性もある。風雲急を告げるユーロ圏。さて、ドラギECBはどう出るのか。