亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

アイルランドがドイツを栄えさせる・・・てか?

2010年11月23日 10時45分34秒 | 金融市場の話題

渋っていたアイルランドも結局周りのプレッシャーに負ける形で支援要請に。来年まで財政の方はファイナンスの必要なしといっても、問題を抱えた主要行からの預金引き出しは止まらず、国債を買い支えるECBも堪らずプレッシャーを掛けざるを得ない状況だったのだろう。アイルランドは、低い法人税率に金融立国が功を奏し一時は「ケルトの虎」と呼ばれるほど高成長を謳歌した国。結局その成功の道筋となったひとつである金融の暴走が仇となった。いわばカジノ経済の盛衰を国家で示した例といえる。身の丈を考えぬ(結果的に)国全体でレバレッジを効かせた上での繁栄が、その逆回転で急転落したのは投資の世界の日常茶飯事でもある。加えてユーロの安定成長協定(単年度財政赤字3%以下)に手足を縛られては、為すすべもなし。

 

欧州の問題・・・というかユーロ圏の問題の根底には通貨統合により経済規模の小さな国家も、ドイツのような体力のある大国並の条件のいいファイナンスができるようになったことがある。折からの金融ブームに乗ることで小回りが利くことをテコに自由化を進め、バブルの波に乗りやすくなったことが結局問題となった。メディアの論調はギリシャとアイルランドは違うとするが、調達しやすくなった資金をどのように使ったかの違いであって構図は同じと思う。結果的にスイスもそうだったが、金融がGDPの規模を超えていた。スイスは金融の基礎体力があったので、深刻な事態には至らなかった。水面下はわからないが。

 

先週書いたがアイルランドに今回予定より大きめの絆創膏をパシッと張るわけだが、いずれ粘着力が衰えるタイミングがやってくる。時間を稼いだ間に正常化は間に合うか。一方でこうした問題が浮上する度にユーロが売られ、それで潤うのが為替安で輸出が増えるドイツという構図も見逃せない。この格差が広がることが、ユーロ圏の矛盾を益々大きくしているように見える。

 

季節柄、外のイベントが重なったり早めの忘年会やらで立て込んでおります。明日、TV東京(とその系列)および日経CNBCの朝9時過ぎからの枠で生で登場いたします。


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