亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ひと昔前ならば売られただろう。

2010年11月24日 22時38分36秒 | 金市場

報道されているように北朝鮮による「よもや」の韓国領への地上攻撃は、一報が伝わった直後から金は反応。逆にシルバーやプラチナは下げた。久々に「有事の金」という言葉がメディアに並んだ。「地政学的リスク」もイラク戦争以来のこと。ただし押しなべてこの有事モードの買いは持続力に欠けるのは経験則の教えるところでもある。状況を時間の経過とともに市場がドンドン織り込みに掛るのが特徴となる。地味ながら金が堅調展開を続けているのはユーロ圏での「経済有事」が乗ってのこと。つまり「軍事的有事」と「経済有事」のコラボ。こまったもんだ。

 

アイルランドが金融支援申請に乗り出したことから、いったんは鎮静化が期待された欧州金融市場だが、同国の政治環境が流動化する様相を見せたことから不透明感が逆に高まる状況となっている。財政危機に政治危機が加わることへの恐れ。

 

要するにこれには伏線があって、すでに救済済みのギリシャにしても、その後の経過が必ずしも計画通りに行っていると言えない事情がある。先週もオーストリアが負担金のEU(欧州連合)への送金を渋るというニュースがあったばかり。したがって、金融支援を受けることが決まっても、当座のカネ繰りをつけるだけで、その後の復興への道筋が不透明という部分に市場の不安が集中する。つまり時間稼ぎだけに終わるのではという懸念。まさにユーロ圏は慢性疾患状態。ならば、キャッシュに・・・という売りがかさむ。

 

このところポルトガルにしても、昨日のスペインにしても国債の入札はなんとかこなすのだが、金利が上昇しており政府負担はいや増すばかり。通貨統合の恩恵は何処に・・・・・という展開。先行きが案じられるわけだ。

 

こうしたユーロ圏の流れを見ていて改めて思うのはドル円について。ひと昔前ならば、今回のようなレベルの朝鮮半島の緊張が伝わっただけで円は売られただろう。それが“超然”と言うべきだろう、83円台の狭いレンジをウロウロ。いまや話題の中心に座る国々は経常収支の赤字国ばかり。何だかんだ言われながらも過去1年で1800億ドルの経常収支の黒字を上げている日本国の通貨YENはしっかりという展開。為替市場の材料性の視点も移り変る。

 


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