山田洋次監督の映画「母と暮せば」を観て来た。
キャストは、吉永小百合、二宮和也、黒木華。そして音楽は、坂本龍一。
この作品は、井上ひさしさんの願いを、山田洋次監督が映画化したもの。
井上さんは、広島、沖縄、そして長崎の作品を残したかったらしい。ところが彼は、「父と暮せば」で広島を、「木の上の軍隊」で沖縄を描いたが、長崎を残すことなくこの世を去ってしまった。
そこで、山田監督がその思いを受け映画化したのが、この「母と暮せば」である。
この映画は、長崎で医大生だった息子を原爆でなくした母と、亡霊となって現れる息子の物語。
一方、対をなす「父と暮せば」は、広島で父を原爆でなくした娘と、幻となって現れる父の話で、映画はこの逆パターン。
さらに、映画では医大生の生き残った恋人が、医大生の母の勧めもあり、悩んだ末に結婚していくが、「父と暮せば」でも生き残った娘が結婚で悩み、亡くなった父の亡霊が結婚を勧めるという場面があるらしい。
読んでいないので詳細は不明だが。
ところで、映画の最後に「井上ひさしさんに捧ぐ」という文字が映し出される。
彼が亡くなったのは2010年4月9日。4月20日のこのブログでも取り上げたが、彼は「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことを愉快に、そして愉快なことは、あくまでも愉快に」と言っていたらしい。
彼の人柄を表した言葉で、見習いたい。