Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

大学祭前日

2007年11月01日 | 那覇、沖縄
 大学祭の時期は教員が一息つける時期だといいます。確かに準備期間や片付け期間もいれれば1週間分の授業がないのですから、そういう言い方ができないわけではありません。でも私はこの時期に大学にいくのが大好きです。いつもは退屈そうに授業を聞く学生達の姿はまるで別人のようだし、普段は病棟のような大学全体がまるでイベント会場のように華やかになごむのです。舞台を作る学生たちの掛け声や、仮設のテントを立てるときに出る金属音・・・。私はいつもと変わらず研究室でただ黙ってパソコンに向かうだけなのに、キーボードを踊る指の動きもなぜかいつもと違って、小気味良いテンポとリズムを刻んでいます。そう、心模様がそんなところにも現れるのです。
 ふつう大学を卒業すれば、大学祭なんて過去の思い出なのかもしれません。もちろん、私が大学時代に経験した大学祭は、私の記憶に残るだけかもしれませんが、大学教員である私は、現在形で今もなお大学祭と同じ空間を共有できます。もちろん、その気があれば。当然ながら大学の教員のほとんどは、騒がしい大学祭に来ることなどありません。せいぜい学生を監視する損な役を受けてしまった教員が、しぶしぶやってきては、早くこんなイベントは終わってしまわないかと腕時計と睨めっこをするくらいです。
 暗くなった頃、ステージからロックミュージックのにぎやかなリハーサルの音が聞こえてきました。首里の大空のもとで自由にロックが演奏できるなんて、こんなときくらいしかありません。観光客は首里城のすぐ下から、そんな音楽が聞こえてくることなど全く望んでいないのですから。それは観光客にとってはとんでもない「環境妨害」です。でも、芸術祭はハレの日。そして今日は、日常であるケからハレへの移行する敷居です。明日には非日常がやってきます。人々の笑顔も音も空気もすべて非日常です。首里城から大学を眺める観光客も予想だにしていなかった音や雰囲気に驚くものの、きっと私たちを許してくれるはずです。明日から大学祭なのですから。