Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

道路に掲げられる印籠

2007年11月05日 | バリ
 バリではとにかく頻繁に渋滞する。理由はといえば、枚挙のいとまがない。たとえば、
①信号が停電している。
②警官が気分で、道路整理をやっている。
③突然、集金のための検問がある。
④小さな道路に観光用のバスが突入して、相互交通が不可能になっている。
⑤事故があって、誰もそれに手をかさずただ見学をしている。
⑥儀礼の行列があり、それが通り過ぎるまで待っている。
 この⑥に遭遇すると、もう誰の力をしてもどうにもならない。とにかく行列はゆっくりである。だからと言ってクラクション好きのバリ人も、儀礼に対しては無力である。だいたい神に向かってクラクションなど鳴らせるわけがない。どんなに車内が暑く、車のクーラーが壊れていても、もう苦笑いをしながらただ「待つ」のみである。そんな儀礼を象徴する印籠が、写真の青地に白抜きの文字「注意、儀礼あり」のプレートである。このプレートは、たぶん100人の警察以上に効力を発揮する。もちろんプレートの上部にはバリ州警察名が書き込まれているため、たぶん、正式な交通表示なのである。(しかし、それもあやしく、作成者が勝手に州警察名を入れているのかもしれない。)この印籠をつきつけられたら最後、「ハハー」と車を止めるか、とんでもなく遠回りをする以外に方法はない。「注意」と書かれていたとしても、これが道路の真ん中に置かれてしまえば、「儀礼あり、通行禁止」の意味に早代わりなのである。現代バリの交通事情も、いまだ宗教儀礼に脱帽なのだ。