
今夜NHK総合で放送されたドキュメンタリー「解かれた封印 ~米軍カメラマンが見たNAGASAKI~」では、広島・長崎の原爆投下直後、米軍カメラマンとして被爆の実態を撮影したジョー・オダネル(Joe O'Donnell)のことを取り上げていた。名前からしてアイルランド系と思われるが、晩年の顔は、ジョン・フォードの「静かなる男」に神父役かなんかで出てきそうな感じだ。正直この人について今まで断片的な知識はあったが、この番組のようにまとまった形で情報を得たことはない。戦後、大統領専属のカメラマンとして活躍したそうだが、あの有名な、ジョン・F・ケネディ大統領の葬儀で霊柩車に向かって敬礼するJ・F・Kジュニアの写真を撮ったのもこの人らしい。晩年は軍の目を掠めて撮った写真によって母国の「原爆投下の罪」を告発し続けた。自らも被爆の障害に苦しみながら昨年85歳で亡くなったが、その日が奇しくも長崎に原爆が投下された8月9日だったという。番組では、遺志を継いだ息子のタイグ氏が、父の遺品の中から発見した録音テープが紹介されたが、それぞれの写真についてのオダネルの思いが語られており感慨深いものがあった。
ちなみに彼が2005年にアメリカで初めて出版した写真集の題名が"Japan 1945:US Marines Photographs From Ground Zero" 末尾に"Ground Zero"をあえて付した意味は非常に深い。
下の写真は最も有名な「焼き場に立つ少年」
既に死んでいる幼い弟をおぶって焼却場にたたずむ少年の、感情を押し殺すように唇をかんだ表情が強烈な印象を残す。オダネルは戦後、この少年の消息を調べ続けたがとうとうわからなかったという。