どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

とんまなハンス・・ノルウエー

2014年09月25日 | 昔話(北欧)

  とんまなハンス/ラング世界童話集4 きいろの童話集/西村醇子・監修/東京創元社/2008年初版
  やりこめられないおひめさま/世界のむかしばなし/瀬田貞二・訳/のら書店/2000年初版


 「とんまなハンス」「やりこめられないおひめさま」というと別の物語であるように思うが、同じ話型で、お姫さまのところにでかけた三人の兄弟の物語。

 上の二人はしっかりものであるが、末の子はぱっとしない存在。

 しかしお姫さまのところにでかける途中で、この末っ子が、カラスの死がい、木ぐつ、泥んこをひろい、これを使ってお姫さまをやりこめ、無事に結婚するという結末。

 ラングの訳には、出典の記載なしとあるが、のら書店版にはノルウエーの話として紹介されている。

 のら書店版は、兄弟の描写がほとんどないのに比べ、ラング版では、ラテン語の辞書をすっかり暗記している兄、都や町の法律を研究し、国の祭りごとに立派な意見をもち、おまけに手先も器用な兄という描写がある。
 さらに、兄弟とお姫さまのやりとりの席に瓦版の編集局長と三人の記者が同席していて、このやりとりを瓦版にのっていた話として結んでいる。

 リズムを感じさせるのは、のら書店版のほうで、末っ子が途中でひろったものについて、上の兄達とのやり取りが面白い。