原典版おとぎばなし/保科輝勝/なあぷる/1999年初版
おなじみの浦島太郎もあまり語る人がいないようだ。
たしかに、玉手箱をあけるとおじいさんになってしまうところで終わるので、なにか物足りないところ。
今知られている物語は、明治43年の国定教科書にのっているという。
713年の丹後風土記のなかでは、釣りをしていた島子というものが、亀をつりあげると、その亀が女になるとうところからはじまる。
竜宮城ではなく、島子がいくのは、不老不死の霊場の蓬莱山。
ここですばらしい歓迎をうけるが、どうしても、両親の顔をみたいとかえってみると、300年後。「玉手箱」をあけると、紫の雲が蓬莱山にむかって飛び去り、老いがおとずれる。
しかし仙人の修業をし、地仙と呼ばれるようになる。
今ある浦島太郎は、いじめられた亀を助けるところからはじまり、乙姫さまから歓迎されるが、原型には、乙姫という名前ではでてこないようだ。
原型では、不老不死の修業をしていた浦島が開けてはいけない箱を開けたために、今までの鍛錬の成果をすべて失う。しかしその後も仙人の修業をし地仙(3段階の中)というレベルの仙人になったという、少しは納得いく結末。