・たまごからうまれた王女(アンドルー・ラング世界童話集7 むらさきいろの童話集/西村 醇子 監修/東京創元社/2008年初版)
子どもがいなかったお妃のまえに、おばあさんがあらわれ、小鳥のたまごをわたし、このなかから子どもがうまれ、そしてお妃自身にも男の子が生まれると予言を残します。
たまごからうまれたのは、女の子で、おばあさんは子どもの名付け親になると言い残します。
王女と王子の命名式に、このおばあさんがあらわれ、王女にたまごの黄身からうまれたので、ドットリンと名付けます。
じつは、このおばあさん、ときには貴婦人としてあらわれるなど正体不明の存在。普通は、魔女か妖精だろうが、はっきりいっていないところが気になる存在。
この話(エストニアの昔話がベース)では、王女の援助者としてあらわれます。
・死神の名付け親(グリム)
グリムの「死神の名付け親」では、死神が名付け親になる。名付け親を誰にお願いするのかの理由が面白い。
神さまは「金持ちには恵んでいて、貧乏人にひもじがらせる」のでおことわり。
悪魔はひとをだましたり、悪事をそそのかす」のでおことわり。
死神は「金持ちでも貧乏人でもわけへだてない」ので、名付け親になってもらうことに。
・まことのフエレナンドとよこしまなフエレナンド(ねずの木 そのまわりにもグリムのお話いろいろ/L・シーガル M・センダック選 矢川 澄子 訳/福音館書店/1986年初版)
おなじく、グリムの物語で、名付け親になるのは、乞食。
貧乏人は名付け親を探すにも苦労するとあります。
乞食は、「子どもが14になったら、野原にいって、お城を開けられる鍵」を産婆さんにたくすので、本当は乞食ではなかったようです。
この物語もあまり聞く機会はないが、王さまと結婚した娘が、”まことのフエレナンド”の首をちょんぎって、その首を元通りにのせるとたちまち傷はいえてしまいます。
王さまに「どこでこんなことをおぼえたのか」ときかれて、妃は「このわざならお手のもの」とこたえ、王さまの首をちょんぎりますが、元通りに胴に乗せなかったので王さまがなくなり、まことのフエレナンドと結婚するという、どこか人をくった結末。
グリムのラプンツェルにでてくる魔女も名付け親だが、名付け親は、日本の昔話にはあまりでてこない。
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サナのあかいセーター/なりた まさこ 作・絵/ポプラ社/2002年初版
寒くなる時期にぴったりの絵本です。
サナちゃんに、おばあちゃんから手編みのセーターが届きましたが、ちょっと小さくて、
みんなで引っ張って伸ばすと、今度は、大きくなりすぎてしまいます。
洗濯するとちぢんでよくなるよとネコのルルちゃん。
セーターをかわかすと今度は、小さくなりすぎます。
どうしてもセーターを着たいサナちゃん。
セーターをほどいて編みなおすことに。
でも、ネコくん、ウサギくん、犬くん、くまくんの誰も編めません。
毛糸にのって、おばあちゃんのところで編みなおしてもらいます。
今は、セーターを編んだり、洋服を手づくりする人があまりいなくなっているのではないでしょうか。
目の前で、お母さんやおばあちゃんが手編しているセーターをみたら、ほかのどんなものより大事にしたくなりそうです、
なんだか、心があたたかくなる絵本です。