がにまたビル、ポールバニヤン/世界のむかし話9 北米 北の巨人/田中信彦・訳/ほるぷ出版/1979年初版
昔話には大なり少なり、”ほら”がふくまれているが、この二つの話のスケールも大きい。
がにまたビルはカウボーイ。
巨大なマグロ(二頭のクジラを飲み込むことができる大きさ)を二日二晩のりまわしたり、嵐で海に落ちた牛を、木の馬にのりながらおいたてる。
ポール・ヤニオンは木こり。
バニヨンが、アブにさされて、あまりの痛さに、すきをひきづったまま、一目散に走ると、幅が6キロ、長さが320キロにもわたってひろがり、これがグランドキャニオンになったというもの。
ヤニオンが植えたトウモロコシとカボチャ。
カボチャはどんどんのびて、実を何千、何万もつけ、カボチャとトウモロコシがあまりにも、地面の水をすいあげるので、五大湖の水がへりはじめる。
他にも、地球をひとまわりぐらいの投げ縄をつくるベイカル・ビル。この男が結婚した娘が、白毛の野生馬にまたがると、この馬が娘を月まで飛ばしてしまう話など、
西部のとてつもない男たちの壮大なほら話で、話す方も楽しんでいるかのようだ。