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おやゆびトム―ペロー童話/リディア・ポストマ ぶん・え 矢川 澄子・訳/福音館書店/1984年初版
ペロー童話といいながら、文というので、作者が手をいれているようだ。
出だしは、暮らしに困った親が子を捨てようと画策するところからはじまり、一度目はトムが小石を道するべにして助かり、二度目はパンくずを道するべにするが、鳥に食べられて森の中をさまようことに。
出だしは「ヘンゼルとグレーテル」とそっくり。
やがて人食い鬼のところで、過ごすことになるが、人食い鬼のおかみさんが優しい人で、食べられそうになるが、ここで一晩を過ごすことになる。
人食い鬼がでてきて、そのかみさんがやさしいというのは「ジャックと豆のつる」そのもの。
やがて夜中、人食い鬼にたべられそうになるが、トムが鬼の娘たちの金の冠と自分たちの帽子をすりかえると、鬼はまちがって自分の娘の首をちょんぎってしまう(これもほかの昔話にあるシチュエーション)。
トムたちは、逃げ出すが、鬼は「七里靴」をはいて追いかける。
疲れて眠り込んだ鬼の靴をぬがせ、トムがその靴をはくと、この靴は、トムの足にぴったりのおおきさにかわる。
トムは、鬼が山賊につかまったとうそをつき、おかみさんからを身代金として金銀宝石をせしめ、夢にも思わなかったような大金持ちになって、幸せにくらすことに。
「七里靴」は、一足で七里走るということか。
トムの両親と七人の兄弟、鬼の両親と七人の娘がうまく対応している。
鬼は巨大で、兄弟たちは小さいというのはジャックと豆のつると同じようだ。
子どもを捨てるのに積極的なのが、父親というあたりが他の昔話とことなる。
ペロー童話集は、1690年代に出版されているので、その後の昔話で同じように思えるところは、このペロー童話集が影響していると考えるのが自然です。