どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

さすらいの太郎坊

2015年10月27日 | 昔話(日本)
    日本の民話8 長者への夢/瀬川拓男・松谷みよ子・編/角川書店/1973年初版


 一見すると映画の題名でもでてきそうなタイトル。

 出だしは、三枚のお札ににている。太郎坊は寺の小坊主。
 小僧さんが栗や花をもとめて、山の中にはいるのが通常のパターンだが、この話では和尚さんから追い出される。

 山姥に食べられそうになって逃げだすが、便所の神様が三枚のお札をくれ、川や火の海、やぶやまを出してなんとか逃げ出すことに成功する。

 ここまでが前半。

 次に、お化けがでて、村の人がつれさられ、無人となった村に一人の娘。
 かかしのお化けが出てきて、風の吹く日も、雨の日も田を見守っているのに大事にしないから、こらしめのために村の人を人質にとったという。
 小僧さんと娘が、酒と餅をふるまうと、かかしの化け物は、村の人をかえしてくれる。

 ここでも終わらなくて、娘と夫婦になる課題がだされる。
 大きなはりの木を一日で切り倒すこと
 山一面にびっしり茂った木を数えること

 無事課題をこなし、最後はめでたしめでたしでおわる。

 三つの話があわさったようで、だいぶ長い話である。

 伝承者の方が、自由に広がりをもたせて話されたようにも思えます。
 多分、これということではなく、話す人も楽しんでいるようにみえました。

 お化けが、かかしというのもなぜかほほえましい。