朝日町の昔話集3/朝日町人材養成事業「あさひまち」F21」・編/1998年
秋なのですが、春の話です。
桜が満開で、酒をもって花見に出かけた男が、頭蓋骨を見つけ、酒飲まして念仏をあげます。
そのまま家に帰って昼寝していると、「こんにちわ」と若い娘の声。
若い娘がいうことには、助けてもらった頭蓋骨といいます。家に送ってくれというので長者の家におくっていくと、娘の三回忌の法事中。
長者がいうことには、娘は家出して行方不明だったといいます。
長者は、山の中で一人暮らしをしている男へ、一緒に暮らすようにいいます。
主人公は「づんつっぁ」と表現されているのですが、いくつぐらいでしょうか。
娘がなぜ家出をしたのか、どうして死んでしまったかはでてきません。背景を省略しているのが昔話の特徴でしょうか。
男が長者の家にいったときは、透明人間になって、法事の料理を次から次えと食べてお客をびっくりさせるところもでてくるのですが、話の展開もストレートです。
供養した恩返しと理解するとつじつまはあうのですが、このあたりも詮索無用のようです。
この昔話集の語り手の方は、ほとんどが80歳以上のかた。どんなふうに口承されてきたのかも興味がわきました。