子どもに贈る昔ばなし6/再話・和歌山昔ばなし大学再話コース 監修・小澤俊夫/小澤俊昔ばなし研究所/2006年
やや苦しいところもありますが、素直に楽しめる話。
ある漁師が、代官のところにもっていった魚。
ところが魚の名前がわかりません。
魚の名前を知っているものに五両のほうびをだすと貼り札をだします。
するとある男が、魚の名前は「きんぷくりん」といいます。
代官は五両のほうびをやりますが、腑に落ちない代官が、だいぶたってから、もういちど男に魚の名前をたずねます。
でたらめをいった男は、どうしても思い出せず、「かんぷくりん」といってしまいます。
代官は、前と名前がちがうので、打ち首にすると男を庭へ引き出します。
すると、男は最後の別れをしたいと、息子を呼びます。
「はじめは、「かんぷくりん」といった魚を、こんどは「かんぷくりん」といったので、打ち首になってしまう。申し開きはいっさい聞いてもらえない。
おまえはよく聞いておけ。いかは、ほしたら するめになるんだぞ、魚は、なまものと、ほしたものと名前が違うこともあるのだ。おれは、その名前をちがえていったばかりに、打ち首になるんだ。いいか、いかが、するめになるということもあるんだぞ。」
魚は大分たって、ほししあげになっていたので、これを聞いた代官が、なるほどと納得し、男を許します。
ここでは代官とやや遠慮しています。外国の話だと、ここは王さまということになるのですが・・・。