ねずみとおうさま/コロマ神父・文 石井桃子・訳 土方重巳・絵/岩波の子どもの本/1953年
王さまは6歳。初めて乳歯が抜けた晩、母親が、「手紙を書いて抜けた歯と一緒に封筒にいれておくと、きっとペレスネズミがきて、おくりものを おいていってくれる」とはなしてくれます。
なかなかあらわれないペレスネズミでしたが、顔になにかがさわって、おきあがってみると、麦わら帽子をかぶって、金縁メガネのネズミが。
王さまは、ペレスの話が面白く、なかなか離そうとしませんでしたが、ペレスはパブロという貧しい男の子のところへいかなければといいます。
ペレスは一緒に行きたいという王さまをネズミにかえて、パブロという男の子のところにむかいます。
恐ろしいネコのドン・ペドロの目をかいくぐって、パブロのところへいってみると、壁は崩れ落ち、その隙間から冷たい風がふきこんでいました。母親とパブロがねているのは、ぼろぼろのベッド。王さまは、自分の国のこどもの境遇に心を痛めます。
ペレスはぴかぴかの金貨を パブロのとれた歯ととりかえます。
もとの小さな子にもどった王さまが、母親に「貧乏な家の子どもも、ぼくとおなじように「天に まします われらの 父よ」って、神さまに おいのりするのは なぜなの?」ときくと、「その子どもたちは みんな あなたの兄弟よ」と、母親はこたえます。
「どうして ぼくだけ、おうさまになっているの?」「あなたが あの子どもたちの、一番上の おにいさまだということです。だから あなたは みんなを、幸せにしてあげなければ いけないのですよ。神さまは「お前の 弟や妹たちに これを わけておやり」といって、あなたに いろいろなものを くださるのですよ」と、王さまに諭します。
神父さんがかかれているので、いのりの場面もあったりして宗教色が強いのですが わかりやすいいといえばわかりやすいお話です。
日本の為政者にも見習ってほしいものです。
絵もネズミのドレスやしっぽに結ばれたリボンが可愛いく えがかれています。
乳歯を枕下に置いて寝ると、歯の妖精「トゥース・フェアリー」がやってくるともいわれているのは欧米で、アジアの国々では、乳歯を放り投げる風習があったといいます。