どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

へっこきあねさ

2020年01月22日 | 絵本(昔話・日本)

        てのひらむかしばなし へっこきあねさ/長谷川摂子・文 荒井良二・絵/岩波書店/2004年

 

 大工のあんにゃに あねさが よめにきました。

 そのうち あねさの 顔色が あおーくなってきて、あしもとも ふあんふあんしてきた。

 「どっか あんばいが わるいかや」と おばあさがきくと、「じつは へが でとうて でとうて」と あねさ。

 「なんだ へぐらい えんりょしないで こけや」というおばあさんに、あねさは 遠慮していたが とうとう こくことに。

 これがまあ でっかいでっかい へ。

 それも一回だけでなく、三回も。どっばーん! で おばあさんは天井まで舞い上がり、だっばーん! で、いろりのふちをひっつかんだまま、三発目は いしうすごと 天井までふっとばされてしまいます。

 「だいじな かかさまを こげなめに あわせる よめは うちには おかれねえ。さっさと かえってくれ」あんにゃがおこり、よめいり道具の たんすを おぶって、あねさを おくっていくとちゅうに 柿の木を見つけます。

 あんにゃが ぼうでたたいても、うまそうな実はおちてきません。

 あねさが笑って、どっばーん! とへをこくと、柿の実は一つ残らずおちてきた。

 川まできたら、渡し船が いったばかり。ここでも あねさが でっぼーん! とへをこき、へを すいこむと 舟は もどってきました。

 「こげな いい へなら さとへ かえすのは もったいない。なじょも いえに もどってくれ」と、あんにゃと あねさと ばあさとで なかよく くらしていた。

 このあとも、ぼっがーん! でっぼーん! ぼっがーん す。 でっぽーん す。とおならをこいて すって 大根を収穫するのもあります。

 へを すいこむというのは ほかの昔話にはみられません。

 おならの音の迫力は 圧倒的。

 荒井さんの絵もこの話にぴったり。着物のすそをまくりあげ おならをするあねさのおしりも もかわいいですよ。