どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

きょうはすてきなドーナツようび

2020年01月17日 | 絵本(日本)

   きょうはすてきなドーナツようび/竹下文子・文 山田詩子・絵/アリス館/2012年

 

 目立たないけど、一度食べた人は必ずまた買いにくるほど美味しいという、まちの小さなドーナツ屋さん。おじさんひとりで切り盛りし、たくさんの木と花にかこまれたお店です。

 ならんでいるのは、おさとうドーナツ、チョコドーナツ、クリームドーナツ、ごまドーナツ、キャラメル ナッツにストロベリーと、どれもこれもおいしそう。

 ある日、ドーナツ屋のおじさんが 重たい小麦の缶を、うっかり 足のうえに おとし大きな怪我をしてお店は休業に。

 「ドーナツはできたてが一番おいしいのに」と、ドーナツたちは自ら売り込みに出かけます。

 メガネ屋さんに、公園の花壇に、電車のつり革に、道路の信号に、ピエロの曲芸とびいり。まちのあちこちに、美味しそうなドーナツが神出鬼没にあらわれます。

 さいごは パレードの楽隊と一緒に、ドーナツ屋さんまで、行進していきます。

 病院からもどってきたドーナツ屋のおじさんは、おおぜいの人が つめかけているのをみて、びっくり。

 店員さんも七人になって、まいにちにぎやかなドーナツ屋さんです。

 絵はカレルチャペック紅茶店代表の山田さん。最近、チェコのカレル・チャペックの短編を読んだばかりで、紅茶店の名前は、この人に由来しているのでしょうか。

 ドーナツが大好きな人たちの笑顔がいっぱいです。

 かわいいネズミや、ぼうしをかぶるドーナツ、気球にのるドーナツ、リスにも注目です。


大根どのむかし

2020年01月17日 | 創作(日本)

      百曲がりのカッパ/世界のむかし話⑫ 百曲がりのカッパ/松谷みよ子・作 梶山俊夫・画/学校図書/1984年初版


 世代をこえて読まれている絵本の「おおきなかぶ」。
 おおきなかぶをみんなで引っこ抜くというシンプルな話ですが、絵の魅力もあって楽しまれているようです。

 「大根どのむかし」も大きな大きな大根の話。

 村中の大根が雨が降らず、育たない中で一本だけ残った大助の大根。村中でこやしをかけて、みずやりしていると、千年杉ほどの大きさに。
 村中で堀り上げ、そりにつけてひっぱりはじめると山かげでごろごろという雷が。

 すると大根が「いまのは大根おろしだべ。おらおろされるのはやだやだ」と泣き始めます。
 大根が口をきいたのにおどろいた村人が、大根を食べるのをやめて、村の入り口においておくと、その大根が雪を止め、夏には涼しいかげとなって、台風もこなくなります。

 ところが大根がいつもいつも腹すいたというので、そのたんびにこやしをあげなくてはならないのに閉口した村人が、大根を追い出してしまいます。

 大根が姿をけしたとたん、嵐はくる吹雪はくる日照りがくる夕涼みもできねえなんていやなことばかり続きます。

 最後のオチも笑えます。もとは山形の昔話のようですが、方言の魅力もあるようです。

 松谷さんの監修で、絵本にもなっていました。

   だいこんどのむかし/渡辺節子・作 二俣英五郎・絵/ほるぷ出版/1992年