アナベルとふしぎなけいと/マック・バーネット・文 ジョン・グラッセン・絵 中川千尋・訳/あすなろ書房/2012年
どこをむいても白い雪。小さな町の冷たい午後、アナベルがひろった箱には、色とりどりのきれいな毛糸がはいっていました。
自分のセーターを編んでも、まだ毛糸が残っていたので、犬のマースのセーターも編みました。それでも毛糸は、まだ残っていました。
近所の男の子と、その子のイヌにセーターを編んでも、まだ毛糸はのこっていました。
学校のクラスメートにも、おとうさんおかあさんにも、おばさんにもセーター編んであげても毛糸はなくなりますせん。
町中のイヌとネコと動物に編んであげてもなくなりません。
町中の家にセーターを編んであげると、街の景色がかわっていきました。
アナベルとふしぎな毛糸の話は世界中に広まって、おしゃれで有名な海のむこうの王子が高いお金を出してほしがります。王子がお金をどんどんつりあげていきますが、アナベルは売るつもりはありませんでした。
王子はどろぼう雇って箱を盗み、お気に入りの音楽をかけて蓋をあけてなかをみますが、箱のなかはからっぽ。
王子が「むすめよ、おまえは このさき いっしょう しあわせに なることは ないであろう」と、呪いをかけてポイと箱を海の中へ。
しかし、箱は氷の上にのって、またアナベルのもとへ。
アナベルは、呪いに負けることなくずっと しあわせでした、
お金でなんでも買えると思っている傲慢な人間には、不思議な毛糸は見えないのです。
ジョン・クラッセンの絵は、これで三冊目ですが、おなじみのキャラクターがでてきて親近感がありました。毛糸の色彩がカラフルですが、鮮やかというよりおさえた色調。
寒い冬に、毛糸という組み合わせもぴったり。
冬が過ぎたら?と余分な心配をしましたが、セーターですから、脱げばいいだけです。