茨城のむかし話/茨城民俗学会編/日本標準/1975年
真夏の暑い日、ひとりのまずしい坊さんが、畑にいたばさんに、水を飲ませてくれるよう頼みますが、ばあさんは「草刈りはたいへんなんだ。水などねえよ。どっかでもらったらよかっぺ」とことわります。
こうした出だしだと、すぐに次に水を飲ませてくれた人へのお礼がされるというパターンですが、それはこの話の最後。
水を飲ませてもらえなかった坊さんは、どこかへいってしまいますが、ばあさんには次から次へと災難がおこります。水を飲もうと思っても井戸から水がくめず、病気になってしまいます。おまけにからだどんどん小さくなっていき、そのうちセミの形になってしまいます。
このセミは、ヒメハルゼミといわれ、高いところにいるので、下からはなかなか姿がみえないという。
弘法大師にかかわる片庭村(いまの笠間市)の話です。