どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

みなごろし、半殺し

2021年07月03日 | 昔話(日本)

 おそろしいタイトルですが、実は笑い話。タイトルでみんなをびっくりさせておいて、なかみの落差でひきつける話。 落語にもなっているというのですが・・・・。


・みなごろし、半殺し(日本の昔話4 さるかにかっせん/おざわとしお・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/1995年初版)

 一人の旅人が、一晩の宿を頼んだ家。
 真夜中になって旅人がふと目をさますと、となりの部屋の話声がきこえてきます。

 「あしたの朝は、みなごろしにしようか、半ごろしにしようか」
 「みなごろしはめんどうだから、半ごろしにしたらどうか」

 旅人はびっくりして、一目散に逃げ出し、一軒の家に飛び込むとわけをはなす。

 ところがその家のおばあさんは大笑いして

 「そこの家の人はおまえさんに、うんとごちそうする気でいたんだよ。「みなごろし」というのは、もち米をすっかりついて、もちにしてから おはぎをつくることだし、「半ごろし」というのは、もち米を半分つぶしておはぎをつくることなのさ」

・ぶったたきと半ごろし(茨城のむかし話/茨城民俗学会/日本標準/1975年)         

 旅人がお風呂に入っているとき、茶屋のとしより夫婦の会話が聞こえてきます。

 「今夜はひとつ ぶったたきにすべえか」じいさんがいうと、「なあに それより、半ごろしのほうがよかっぺ」とばあさん。驚き逃げ出そうとする旅人に「ぶったたきちゅうのは、うどんのこと。半ごろしちゅうのは、うどんのこと」と、じいさん、ばあさん。

・本殺し生殺し(岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年)

 本殺し うすでひいた粉をぬくい湯をかけてねって、それからなべでにただんご。

 生殺し 湯でねっただけのだんご。

・手打ち半殺し(栗山の昔話/柏村祐司・編著/随想舎2009年)


・「半ごろしの御馳走」は、山形の昔話。

 長野県では、「はんごろし」は、おはぎ、「みなごろし」は、お餅。
 群馬県では、「はんごろし」は、ぼたもち。
 栃木県では、「はんごろし」は、ぼたもち、手打ちはお蕎麦。

 鳥取県では、「はんごろし」は、ぼたもち、「みなごろし」は、餅。(鳥取のむかし話/鳥取県小学校国語教育研究会編/日本標準/1977年)