かぜをひいた おつきさま/レオニート・チシコフ 鴻野わか菜・訳/徳間書店/2014年
ある晩、どしゃぶりの雨で、すっかりびしょぬれになったおつきさまは、風邪をひいてしまい、空に浮かんでいるのがつらくなって、地面におりて、ぬれた草の上で横になりました。そこにイワンさんがやってきて、傘をさしてくれました。イワンが ねつがある おつきさまを、家まで連れていき、リンデンの花を煎じて、薬といっしょに飲ませ、毛布でくるんであげると、おつきさまは からだがあたたまり、ぐっすり ねむりました。
おつきさまが 目をさますと ふたりは ゆっくりと はなしをしました。イワンは、ともだちがいないこと、おつきさまは 星やほうき星のことを たくさん はなしました。
三日たって、おつきさまは 空に かえろうとしますが、ひとりでは 空にのぼれません。
風船をつかうことをおもいついたイワンは、自転車を買おうと まえからためていたお金で風船を50こ 買ってきて、おつきさまに むすびつけました。
次の日、しぼみかけた 風船が ひとつ、イワンさんの庭に おちていました。風船には、手紙がついていて、そこには、「ありがとう、ぼくの ともだち」と、ありました。
淡い色調で、少年とおつきさまの交流をやさしく描いたロシアの絵本です。
空に浮かぶ三日月は、手で持とうと思えば、つかまえることができそうな大きさに見えます。そこから発想するのも絵本ならではの特権です。