ももたろう/松居直・文 赤羽末吉・画/福音館書店/1965年
おなじみの昔話で、このほかにも多くの絵本もあります。先輩の方とときどき保育園、幼稚園におうかがいすることがありますが、どういうわけか話されるのを聞いたことがありません。
童謡「ももたろう」では 鬼ヶ島から宝物を持ち帰りますが、ここでは「宝物はいらん」と、とらわれていた おひめさまをたすけ、うみこえ、たにこえ、やまこえ、うちにかえってきます。
桃が「つんぶく、かんぶく」ながれ、「じゃくっ」とわれ、ももからうまれた男の子は「ほおげあ、ほおげあ」と泣きます。
ももたろうは、一ぱいたべると 一ぱいだけ 二はいたべると 二はいだけ 三ばいたべると 三ばいだけ と おおきくなり
いぬは わんわん さるは きやっきやっ きじは けーん けーん とやってきます。
ももたろうと いぬと さると きじは、きびだんご たべたべ、おにがしま めざして、やまこえ、たにこえ、うみをこえ、ゆくがゆくが ゆくとー。
こうしたリズムが なんとも 心地よく 響きます。
ほかの絵本も見てみたいのですが、この絵本で ももたろうが、鬼ヶ島にでかけるのは、一わのからすがやってきて おにが 米や、塩、姫をさらったと なくのがきっかけです。
さらに、きびだんごを いぬ、さる、きじにわける場面では「それでは おまえにも わけてやろう。これさえ たべれば 十にんりき」とだしてあげます。
鬼ヶ島からかえる船の上で、鬼が舵をとっている赤羽さんの絵がこの絵本の特徴でしょうか。
ももたろう/松谷みよ子・文 瀬川康男・絵/フレーベル館/2002年
ももがながれてくようす
どんぶり かっしり つっこんご
どんぶり かっしり つっこんご
ばあさまが きびだんごをつくるようす
ごーりん ごーりん うすをついて きいだんごを みっつ つくった
ももたろうが 鬼を退治するようす
でん でん とたたきつぶした
おとものいぬ、さる、きじは、ももたろうが船で鬼ヶ島に向かう途中の島であいます。
きびだんごも「ひとつはならん はんぶん やる」
宝物も、もってかえってきます
ももたろうは「ちょっとひるねをする」「くっちゃあ ね、くちゃあ ね」と、昼寝大好きな若者です。
腰にさしている剣の形が時代をあらわしています。
ももたろう/松谷みよ子・文 和歌山静子・絵/童心社/1993年
フレーベル館とおなじ松谷さんの「ももたろう」は「くっちゃあね」と、寝てばかりいる若者ですが、鬼退治で、昔話の助っ人が あらわれます。
さるかにがっせんの「いしうす」「うしのくそ」「つぶくり」、かちかちやまの「うさぎ」、そして ハチの群れ。
ももたろうは素手でおにに 立ち向かっています。うさぎが おにをなげとばしているのに 意表を突かれました。
ももたろう(水谷章三・作 スズキコージ・絵/にっけん教育出版社/2003年)
ももがながれてくようすは、「どんぶら こんぶら すっこんこん」
はじめ、ももたろうは食べるだけ食べて ねてばかり。それでも食べるものがなくなると、山の ぶっとい木を ねっこから ひっこぬいて 「これ売って 食うもの買おう」と親孝行な面も。
きびだんごは 「ひとつは やれん、はんぶんだ」です。
助けたおおぜいのこどもが笑顔で船に乗っています。
・ももたろう(日本の昔話3/おざわとしお・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/1995年)
ももたろうが、きびだんごをやる場面
「これは日本一のきびだんご。一つ食えばうまいもの、二つ食えばにがいもの、三つ食えばからいもの、四つ食えば頭の鉢がざるになる」
共通語で表現したという「桃太郎」ですが、昔話のリズムが感じられず、いまひとつでした。