チンチラカと大男/片山ふえ・文 スズキコージ・絵/BL出版/2019年
「かしこいモリー」の後半部分と似ています。
貧しい三人兄弟が仕事探しにいきます。末っ子チンチラカは、おなりの国の王さまにやとわれ、とんでもないことを命じられます。それも三つも。
一つ目は、魔の山に住む大男から黄金の壺をとってくること、二つ目は、人間の言葉を話す黄金のパンドゥリをとってくること、三つめは大男をつかまえてくること。
大男を箱に入れ城に持ち帰りますが、チンチラカは城の高い塔にのぼってから、王さまに箱を開けるよう叫びます。箱から出た大男は王さまも大臣も、兵隊を一人残らず呑み込むと、さらに塔の上のチンチラカを呑み込もうとしますが・・・。
三人人兄弟ですが、兄さんたちの出番はほとんどありません。
チンチラカは「とんちのきく若者」、大男は「デフ」と呼ばれる鬼で、ジョージアの昔話によくでてくるといいます。
大男から逃げ出すとき、つり橋をわたりますが、このつり橋は、かしこいモリーでは「髪の毛一本橋」。はじめよくわかりませんでしたが、橋の背景は季節が変わっていて、出かける前に相当の準備をしたことを暗示しています。
王さまは、大男をとらえて何をしたいとおもっていたのでしょうか。自分の首をしめてしまいました。
魔法の楽器パンドゥリのせりふ
「たいへん、たいへん! チンチラカがつぼをぬすみにきたわ!」
「たいへん、たいへん! チンチラカがこんどはあたしをぬすみにきたわ!」
チンチラカの二回のさけび。
「こんどあったら、おまえを子分にしてやるよー!」も楽しい。
とにかく、スズキコージさんのダイナミックな絵が迫力満点。