どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ぼくは 川のように話す

2022年12月06日 | 絵本(外国)

    ぼくは 川のように話す/ジューダン・スコット・文 シドニー・スミス・絵 原田勝・訳/偕成社/2021年

 

 「話す」ことをあらためて考えさせてくれました。

 話すことができない人、話しても「口の調子が悪い」人もいる。

 

 「ぼくの口の中には。舌じゃなくて 松の木が はえている」

 うまく言えないもどかしさ。

 教室では、うしろのせきでちぢこまっている。あてられません、って思いながら。

 学校で 毎朝ひとりずつ、世界でいちばん すきな場所について 話すことになっていた。きょうはぼくのばん。でも口が どうしてもうごかない。もううちにかえりたい。

 放課後、お父さんの車がまっていた。「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」

 おとうさんと、きれいな色の石やアメンボをさがしながら、ならんで岸を歩いていく。

 心が少しかるくなっても うまくしゃべれなかったことを かんがえずにはいられない。

 目は雨でいっぱい。おとうさんが、ぼくの顔を見て、かたをだきよせ、川を指さした。

 「ほら、川の水を見てみろ。 あれが、おまえの話し方だ」

 

 吃音だったジョーダン・スコットの思い出をもとにしてつくられた絵本。

 川は急流もあれば、ゆったり流れるところも、よどんでいるところも。川にたとえて あせらず、自分にむきあうよう 語りかける お父さんの 自然体に感銘です。

 川を見つめる ぼくの 目をつむった表情から、川が話しているような印象をうけました。