キバラカと魔法の馬/さくまゆみこ・編訳 太田大八・画/富山房/1979年
悪魔が二本の道が交差しているところに小さな家を建て、住むことにした。これは、この道を行き来する人びとにとっては、なんとも迷惑な話。
旅人がこのちかくにやってくると、悪魔はいつも太鼓をたたき、踊れと命令する。そして、「先にくたびれたほうが、死ななくちゃならんぞ」という。先にくたびれるのは、いつも旅人のほうで、疲れてぐったりしたところを、悪魔に食われてしまっていた。
町の人が悪魔に食われてしまって、みんなが困っているのをみて、一組のふたごの若者が、この悪魔と勝負し、成敗してやろうと決心した。
一人が、楽しそうに歌をうたいながら悪魔の家に近づくと、このところ何日も人の姿をみていなかった悪魔が、うれしそうに声を出し、「ほいほい、若い旅人よ。さあ、踊らないか」といいながら太鼓を鳴らしはじめた。若者が「踊るには、もってこいのいい天気だ。太鼓をしっかりたのみますよ」と、応じると、悪魔は、なんにも知らないまぬけな若僧だと思いながら太鼓をたたく。
ところが若者はまる三日間踊りつづけた。悪魔のほうがだんだん疲れ、さすがの悪魔も、どうにもこうにもくたびれはて、ばったりと地面にたおれてしまった。
ふたごの若者は、悪魔にみつからないように交代しながら踊りつづけたのだ。
動物の間でよくある競争ですが、悪魔とふたごというのが新鮮。このあたりでは、ふたごは、特別な力をもっていることとされ、立派な魔術師や医術師になれる。人の運命を語ることもできるし、薬草や毒の使いかも知っている存在。
リベリアにはなじみがなかったが、アフリカでの位置を確認。