月夜とめがね/原作・小川未明 脚本:絵諸・橋精光/鈴木出版/2019年(19画面)
昨日(2023.8.31)は1年に一度しか見られないスーパームーンとブルームーンがかさなりました。当地では残念ながら もやがかかりはっきりと見られませんでした。
満月の夜は、何か起こりそうな予感。
おばあさんが窓の下に座って針仕事をしていると、今夜は月がいいから、売って歩くというめがね売りの男がやってきました。
目が かすんで困っていたおばあさんは、めがねを かけてみて、よく見えることに喜び、めがねを買いました。針仕事が一段落し、めがねをはずし棚の上に置き、寝ようとすると トントン トントンと、外の戸をたたく音。戸を開けると、指をけがして血が流れている女の子が めをうるませてたっていました。
家を前をよくとおって おばあさんが針仕事をしているのを知っているという少女を家に入れ、ランプをかざしてみると、目がかすんで傷口がよく見えません。めがねをかけ、傷口をよく見ようとすると、そこには蝶。
少女と戸口から外に出て、うらの花園のほうへとまわると、そこにはいろいろの花。白い野バラの花は こんもりとかたまって雪のように咲いていました。
ふと気がつくと・・・。
小川未明の美しく幻想的なお話で、諸橋さんの ちょっと昔を思わせる絵に惹かれました。
はじめ、「針仕事をしながら、遠い昔や、離れて暮らす孫娘のことなどを空想し、そこに目覚まし時計が カタ、コト、コト、時をきざみ、ときどき町のほうから 物売りの声や、汽車のゆく音が聞こえてくるばかり」と、おばあさんの人生が凝縮されています。