アアウをとってこい/秋野癸巨矢・文 秋野不矩・絵/BL出版/2023年
ミクロネシア・マーシャル諸島の民話。
エブ島のイリリクという長老が、自分の息子ベチュワクに、なんとかしてアアウをあげたいと思い、ひとりの巨人をよんで、ジェモ島にいるオオウミウナギののどにあるアアウをとってくるようにいいます。
アアウは、人の頭にかかる虹のようなものといわれ、アアウをもった女の人は あまりにうつくしいのでだれもまともにみることができず、男の人は どんな嵐の日でもカヌーにやまもりの魚を取ってくる力があるのです。
ベチュワクは、何をやらせてもぶきっちょで、それにくら弟のジェカールは、ちいさいくせに どんなことも、いちばんにやってしまいます。長老は、そんなベチュワクのために、アアウを あたえたいと思ったのです。
巨人は、オオウミウナギがいるジョモ島にむかいます。島と島の間が300㎞あるところをとおりぬけ、島のサンゴ礁の北のはしにちかづきますが、オオウミウナギの子どもたちに足に かみつかれ、おおあわてでにげかえってしまいます。
ジョモ島にむかうとちゅう、オオウミウナギのいるところを教えてくれた老人が手助けしオオウミウナギのところへ むかいます。
長老からたのまれた巨人も大きいが、老人もさらに巨大で、巨人を腰ミノの帯のあいだへ、人形みたいに、はさみこみオオウミウナギのもとへ。
ベチュワクがアウウをもとめて旅するかと思っていると、アウウをとってくるのはふたりの巨人。そのアウウも、弟のジェカールに だましとられてしまい、ペチュワクには、ほんのすこしだけ。こうしていまも、ペチュワクは、ジェカールほど、うつくしくなく、すばしこくもなく、運もよくありませんが、マーシャルの人たちは、こののんびりしたベチュワクがすきだと、ほっとする おわりかたです。