うみからきた おとこのこ/再話・絵・堀内誠一 脚本・堀内紅子/童心社/2019年(20
画面)
海で遭難したと思われていた、ひとりぼっちの貧乏な鍛冶屋が、三月ほどしてひょっこりかえってきました。しばらくすると 鍛冶屋のところに、オラフというちいさな男の子があらわれました。「おとうさん」といわれた鍛冶屋には 記憶がありませんでしたが、嵐のとき鍛冶屋は 海の底で、人魚に助けられ しばらく いっしょに 暮らしたのでした。
ほんの いくにちかで オラフはすっかりおおきくなり、鍛冶屋の仕事を手伝います。オラフは、食べれば食べるほど ぐんぐんおおきくなりました。そんなオラフを見た鍛冶屋は、広い世界を みておいでと 旅に送り出します。
何日かして大きな屋敷の地主のところで働くことになったオラフ。地主に言われて、まず台所で腹ごしらえします。大鍋の なかみを ぜんぶ たいらげ パンを10本、ソーセージを30本、葡萄酒を まるまる一樽飲み干したオラフを見て、びっくり ぎょうてん。地主は、たっぷり働いてもらわないと 麦の殻と実がまじっている山を ひるまでに分けておくよういいつけます。
大きく息を吸い込んで ふーっ とすると、重たい実は近くに落ちて、軽い殻は、遠くへおちて、ふたつのやまができました。次は 山から木を 片手で 引っこ抜いてきます。干し草運びも軽々としたオラフに、地主は 厄介という仕事を いいつけます。それは、金を貸した男から 金をかえしてもらうことでした。地主が金を貸した男は、悪魔でした。悪魔のところにいるカラスから、オラフがやってくることを聞いた悪魔は、湖のほとりで オラフを でむかえました。
城に案内するふりをした悪魔が、水が渦巻く呪文を唱えると、オラフをのせた船は、音もなく沈んでいきました。ところがオラフは、人魚の息子。悪魔の 首根っこをおさえつけます。かなわないと観念した悪魔は、金も、湖の魚も 一匹残らず、差し出します。
地主は、「よく はたらいてくれた。しかし、おまえは おおきすぎる! もう わしのてにはおえん。これを もって うちへ おかえり!」と、金貨の袋を オラフに わたします。
オラフは 金貨を 鍛冶屋に わたすと、人魚の お母さんのところへ、かえっていきました。
原作はデンマークの民話。1973年、堀内誠一さん(1932-1987)が、パリのクラマール市にある児童図書館(小さな丸い図書館)につどう子どもたちのために描いたもののようです。この原画を、娘の紅子さんが脚本や構成を練り直したといいます。