世界民話の旅7中国・東南アジアの民話/河野六郎他/さ・え・ら書房/1980年初版)
カンボジアにかぎらず、ウサギが知恵をはたらかせるという昔話。
・カワウソとさかな
水のひあがった浅い池の魚がカワウソにみつかり、食べられそうになります。
どろがついたまま食べるの?といわれ、カワウソは泥をおとすため水のある深い池に魚をつれていきます。もちろん魚は池からでようとしません。
そこでカワウソは森の動物たちに池の水をかいだしてほしいと頼み、そのため池の水は少なくなって魚は逃げ出そうとします。
そこに通りかかったウサギが、ワケを話すと、ウサギは手紙をかきます。
動物たちは字の読めるものがいません。だれも読めない手紙を、神さまの手紙だと大見えを切ってウサギが読みます。
「ワシのあしをおるべし。キツネのしっぽをたたくべし、ゾウのキバをぬくべし。ヘビの頭をきるべし。」
ウサギが池の水をかいだした動物をおどしたので、魚は無事に助かります。
・落とし穴におちたウサギとトラ
ある日、トラに見つかったウサギが、トラを生け捕る落とし穴におちてしまいます。
のぞきこむトラに向かって「いまに空が落っこちてきて、地面にいるものはみんな、おしつぶされてしまうのだよ」と驚かしたウサギ。真に受けたトラは、わざと しぶるウサギに頼み込んで自分も穴の中に。
ウサギはトラのお尻を何度もつねります。腹をたてたトラはウサギを穴の外に放り出してしまいます。
穴からでたウサギは村人に大声で、トラが穴に落ちていると叫びます。
・恩知らずのワニ
一人の男がワニを助けますが、いざ助かったワニは、男にむかってするどい歯をむきだします。
家族にわかれをつげてきたいといった男はウサギと出会い、ウサギと一緒にワニのところにむかいます。
ウサギはワニが苦境に陥った状況を復元させて、男を助けます。