山形のむかし話/山形とんと昔の会・山形県国語教育研究会共編/日本標準/1978年
おばあさんが、川で 食器を洗っていると、川上から流れてきたのは赤いこん箱と白いこん箱。「赤いこん箱、こっちゃこい。白いこん箱、あっちゃいけ」というと、流れてきたのは赤いこん箱。白いこん箱は「あーん、あーん」と泣きながら流れてしまった。
赤いこん箱には、めんこい子犬。大事にそだて、ある日、山へいき、「ここをほれ、カンコーカェン、あそこもほれ、カンコーカェン」というので宝物がでてきた。
と、ここまで「花咲かじい」と、おなじ進行。
灰をまいて、花が咲くのではなく、灰を畑にまきます。すると畑一面にヒョウ(スベリヒユ)がでました。ふたりでヒョウを食べると、じいさんの腹がはってきて、ちょっと腹に力を入れると、屁が出て「綾ちゅうちゅう 錦さらさら ごよの股のあわいから ツツラプンバンピー」と聞こえます。
山形一のだんな衆の家で披露すると、だんなは大変喜んで、宝物をくれます。
となりのじいが、おなじまねをすると、「綾ちゅうちゅう 錦さらさら ごよの股のあわいから」のつぎは、「ビリビリッ」と、なんともきたない音がして、そこら一面よごしてしまったので、鼻をつまんだ若い衆から表に投げられ ひどく腰をうって寝込んでしまう。 (どんぴんさんすけ サルまなぐ)
”屁”の話は、昔話には欠かせませんが 外国ではどうでしょうか。
「スベリフユ」は、地方によって、トンボグサ、チギリクサともよばれ、CAM型光合成をするといいます。雑草というイメージですが、世界では貴重な植物といいます。CAM型光合成おそるべしです。