みんな たいほ/マヒトウ・ザ・ピーポー・文 荒井良二・絵/ミシマ社/2023年
名前から外国の方と思ったら日本の方でした。
パンをぬすんだ、ひどいことばで人を傷つけた、ひとをぶんなぐった、車で電柱にぶつかった、ビルや家を壊した(台風)を「ろうやで はんせいしなさい」と、つぎつぎにろうやにいれた おまわりさん。
でもそれぞれ言い分が・・。
コンビニでパンを盗んだ人は、”しごとがないんだ”
ひどい言葉で、ひとを傷つけたひとは、”ひどいことをいわれて おなじくらい ひどい言葉で仕返しをしたんです”
ビルや家を壊した台風は、”にんげんは 風に ゴミを どんどん なげこむだろう? おれたいてゃ 血は出ないけれど、カンカンに おこっているんだ”
おまわりさんは、たいほしたひとの言い分も聞いていきます。
図書館にいって、本をめくり「文字を たいぽ」
世界中の”色”を たいほ。
まちのガヤガヤ、ライブハウスの大きな音、線香花火から ちいさな”音”を たいほ。
ついには、”人間”をたいほし ろうやに入れ おまわりさんも ろうやにはいって 鍵をかけ それを呑み込みました。すると、ろうやは ひとつの球体になって・・・。
言葉がなければ人を傷つけません。
皮膚の色が差別の原因になるなら、色がなければ・・
環境を破壊するのが人間なら、人間がいなければ 環境破壊はありません。
荒井さんの色が、爆発しています。