なんでも ふたつ/リリー・トイ・ホン・再話 絵・せき みふゆ・訳/評論社/2005年
ある春の朝、ハクタクじいさんが、畑を耕していると、真鍮でできたふるい甕がでてきました。ばあさんが何かに使うだろうと、持ち帰ると、おばあさんが 甕をのぞきこんだ拍子に、髪飾りが落ちてしまいました。拾おうと 手探りしていると、髪飾りが二つみつかりました。その上、おじいさんが持っていた財布も二つ。
大喜びしたおじいさんは、おばあさんが、あたたかく冬を過ごせるように、オーバーをいれてみると、オーバーも やっぱりふたつ。
それからは、肉や果物、そして金貨を入れた財布まで甕に入れ、床は金貨でいっぱい。
ところが、おじいさんが 村に買い物にいったとき、感謝の気持ちで甕を覗き込んだおばあさんが、甕の中に落ちてしまい、おばあさんが二人になってしまいました。あたらしいおばあさんを甕に戻すと、三人になってしまいます。喧嘩しているうちに、おじいさんも甕に落ち、二人になってしまいます。
しかし、兄弟ができたようなものと、困ることはなく二組のハクタクさんたちは、二間の素敵な家を建てました。
憎まれ役が一人もでてこなくて、村の人も 欲しがるわけでもない ほっこりする中国の民話。甕はその後も存在していたようですよ。
貧乏といいながら貧乏くさくない丸顔のハクタク夫婦。おじいさんが籠いっぱいに金貨を入れて、買い物に行くところ(物騒!)は、びっくりでした。