金のたまごを うんだが ちょう/作・ジェフリー・パターソン 訳・晴海耕平/童話館出版/1996年
子どもたちが巣立ち、今の生活に満足し、つつましく暮らしていたヘンリーとヒルダ夫婦。
ある日の朝、ヘンリーが がちょうの小屋に、金のたまごを見つけ、次の朝に がちょう小屋に行ってみると、もう一個のたまご。
がちょうさまさまと、巣箱を 新しく塗り替え、おいしい食べ物を がちょうに やっていると、金のたまごの上に、さらに金のたまごが積み重なって 笑いがとまらなくなりました。
「お金は、たんとは かせげないけど、必要なものは なんでもあるわ。あたしゃ、これいじょう、なんにもいらないわ」と言っていたのに、長い間、自分たちに忠実につかえ、いまは年老いた 馬のペギーを売り、まるで妖精のような若い馬を買って、荷馬車も新しくし、あたらしいものを買い、それまで ふたりを しあわせにしてくれたものを、捨てた。
ところが、ある朝、がちょうの巣に、金のたまごが 見つからなかった。おなかがすいているかもと、たっぷり食べさせても、寒いのかもしれないと かまどの近くにおいてやっても、金のたまごをうまない。
「金持ちのままで いたい」と、すさまじく怒り出したヒルダ夫人は、おなかのなかに、金をため込んでいるに違いないと、おなかをひらくようヘンリーに 言った。ヘンリーは がちょうを しまつした。しかし、がちょうのおなかの中には、金のたまごはなかった。
つぎの朝、ふたりは、おしゃれな若い馬を売り、いまは年老いた馬のペギーを買いもどし、「金のたまごは、ふしあわせを はこんできただけだった。それに、あたしたちのがちょうを、死なせてしまった。」「けれど、ひとつ 学んだな。いまあるもので 満足するということをね」と、以前の生活に戻ります。
どこまでも欲がなさそうなふたり。金が手に入っても滅茶苦茶に贅沢するわけでもなく、こっろと 反省し、切り替えが早い。
がちょうが、命とひきかえに、今の生活のしあわせに 気がつかせてくれたのでしょう。