どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ピンクいろのうさぎ

2021年12月16日 | 絵本(日本)

      ピンクいろのうさぎ/たかお ゆうこ/講談社/2021年

 

 しろいうさぎたちが住むところに、ピンクいろのうさぎが生まれました。

 あるばん、夢を見た、ピンク色のうさぎ ぴょんは、ピンクいろのうさぎを探すことにしました。

 九つの山をこえ、八つの谷をぬけると、そこには はいいろのうさぎたち。ピンクいろのうさぎはしらないと、こそこそ 逃げ出した はいいろの うさぎたち。

 つぎについたところには ちゃいろの うさぎたち。

 さらに五十の山をこえ四十九の谷をぬけると きんいろのことりに あいました。千の山と九百九十九の谷を こえてきたが、ピンクいろのうあさぎはみたことが ないよときんいろのとり。

 ぴょんが うっかり 穴に落ちとところに たくさんのうさぎ。穴のうさぎに連れられていくと、湖がみえ、ぴょーんと 飛び込むと・・・。

 

 自分の居場所を探しに出かけたぴょんは、ピンクいろだけでなく、いろとりどりの うさぎに であうことができたのでした。ピンク色のうさぎなんか いないといわれても、探してみると別の世界が広がっているのかも。


おちばのほん

2021年12月15日 | 絵本(自然)

    おちばのほん/いわさ ゆうこ/文一総合出版/2021年

 

絵本仕立てで、図鑑より親しみやすいでしょうか。

よく集めたと思うほどで落ち葉の数120種以上。それも全部手書きですから大変なご苦労です。

紹介の仕方もユニーク。(太字は木)

・ぽとり くちなし ほるとのき あつい なつまで がんばった もういいかいと かくれみの

・おてらの ふじだな まっきいろ かがやく いちょう まっきっき

・ぶどう かき くり みの なる き はたけの べにいろ ブルーベリー あんずの おちば きれいな ピンク おちばの ようふく つくりたいな

 種類が多すぎて、落ち葉をひろってきても木を特定するのはむずかしそうです。木の名前から利用したほうがわかりやすいでしょうか。

 

 なぜ木から葉は落ちるのか? どうして赤や黄色に紅葉・黄葉するのか?という疑問にこたえることから、葉の特徴、名前の由来まで、さらに落ち葉を使ったアート作品、遊び方まで満載です。

 葉のつき方に互生、対生、三輪生があるなど、いわれてみればなるほどとうなずけるのですが、見ていると思っていても、実は見えていないものが多いのにきづかされました。


もしもまほうがつかえたら

2021年12月14日 | 絵本(外国)

     もしもまほうがつかえたら/ロバート・グレイブズ・文 モーリス・センダック・画  原もと子・訳/富山房/1984年

 

 両親がなくなり、おじさん夫婦と暮らすジャック。おじさん夫婦はあまりやさしくはくれませんし、自由にもさせてくれません。

 ある日、ジャックが屋根裏部屋でみつけたのは、大きなみどり色の本。その本には魔法のまじないがいっぱい。

 さいしょに 髭を生やしたおじいさんに変身し、ジャックがいなくなって探しにきたおじさん夫婦と、お金をかけてトランプ勝負。なんどやっても負け続けたおじさん夫婦は、家も庭もとられてしまい、一生、けらいになる約束までしてしまいます。

 もとにもどったジャックに、家もなにもとられてしまったから、髭のおじいさんが、おまえの面倒もみてくれるだろうというおじさん夫婦。

 ところがひとまわり家をみにいった髭のおじいさんの姿はみえません。

 「おじさんも おばさんも夢を見ていたんだよ」とジャックに言われたおじさん夫婦は、なんだか ばかにされたような気持になりましたが、また、元の生活にもどります。ただ、その後、おじさん夫婦とジャックの溝がなくなったのかどうかは さだかではありません。

 それにしても、一ドル、二ドル、四ドルが十万ドルになり、家も賭けてしまうなんて・・。

 いろんなことができるので、心配になったジャックが、たったひとつ使うことにした まじないは?

 原著は1962年発行で、絵は白黒です。

 こどものころ、「まほうがつかえるかも」と本気で考えたこともあります。いまの子は、何を空想するでしょうか。


運はさずかりもの、お年徳神さま・・宮城

2021年12月13日 | 昔話(北海道・東北)

      宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年

 

 ちょっと短い宮城の話。

・運はさずかりもの

 産婆さまが、東の方の家の子には、青竹一本さずけ、西の方の家の子には48の蔵ばさずけ、めでてい、めでていと、かえっていきます。この産婆さんは山の神。

 東の家の子が大きくなって、山で青竹一本を見つけ尺八をこしらえると、たんまげて音のいい尺八。この尺八を懸命にふいて、日本一の尺八の名人に。

 西の家の子は、おおきくなっても、ごおろり ごおろり 寝てばかり。家を追い出され、あちこちを歩いて、のどかわいて沢で水を飲むと、それは酒で、この酒を売り歩いて大変な金持ちになって、48の蔵を建てて、幸せに暮らします。

 運をさずけるが、あとは自分の力で実現しなさいということでしょうか。

 

・お年徳神さま

 だれもが年をとらなかったら?

 そのためにお年徳神さまがいらっしゃるのかな?

 お年徳神さまがみんなの家をまわって年とりしていきます。
 一軒の家を忘れて、年をとらそうとすると、家の中はがらんとして、だれもいません。

 うらの口から外にでようとして、臼にひっかかると、うすがひっくりかえって中には人。
 「こごも、年とらせる人いだ。」と、年とりたくない人も年をとらせたと。

 

 だれもに平等におとずれるのが、年をとること。これからはだれも逃げれられません。


つきのばんにん

2021年12月12日 | 絵本(外国)

      つきのばんにん/ゾシエンカ・作 あべ弘士・訳/小学館/2021年

 

 月の番人シロクマのエミールは、月がだんだんやせていくので、おなかがすいたのか かなしいことがあるのか心配です。

 ホタルがやってきて「どのおみせにも うっていない くだもの なあに?」となぞなぞ。だれかが すぐに「なし」とこたえると、月はくすっと わらいました。

 エミールが ヒョウに電話すると、ヒョウは月を見ながら「たべたあとのスイカみたい」と、こたえました。

 「ものごとは、おおきくなったり ちいさくなったり、きえたとおもったら あらわれたり するものなのよ。あなたにも わかるときが くるわ」と、鳥はおしえてくれます。

 消えた月が、夜をおうごとに おおきくなって また おおきな まんまるい 月。

 動物会議で「月の番人」に選ばれたエミールが、森のみんなに必要な月の光を守るため、月にかかるあやしい雲をほうきではらったり、コウモリが 月をよこぎるのを注意したり、月と語りあったりするでだし。

 木に登っているエミールのバッグの中身が楽しい。ノート、懐中電灯、網、パチンコ、ろうそく、スケール、ペンチなどなど。何かあったらすぐに対応しないといけないので、中身はいくらあっても よさそう。

 子どもたちは、月の満ち欠けがわかっていますから、心配することないよと声が出そうです。


とらさん おねがい おきないで

2021年12月11日 | 絵本(外国)

     とらさん おねがい おきないで/作・絵 ブリッタ・テッケントラック 訳・木坂涼/ひさかたチャイルド/2017年初版

 

 スー スー スーと、気持ちよさそうに眠りこんでいるとらさんをみつめているのは?

 眠りこんでいるとらさんの むこうへ 風船をもって いかなくちゃ と かえるくん きつねくん かめくん ねずみちゃん こうのとりくん。

 かえるくんは 風船のひもをもって

 きつねくんは 風船にとびのって

 かめくんは ひもに ひっぱってもらって

 ねずみちゃんは 風船の ひもを はなしてしまい

 とちゅう

 とらさんの はなのあたまを なでてくれる?

 とらさんの おなかを やさしく たたいてくれる?

 あかちゃんを だっこするみたいに とらさんを ゆらしてくれる?

 と みんなに おねがいがあります。

 でも こうのとりくんが ながーい くちばしで 風船をパーンとやって とらさんがおきてしまいます。

 それでも ちょうどよかったと びっくりパーティの はじまりです。そう、とらさんの誕生日でした。

 とらさん はじめから 優しそうですから なにも心配することがないとおもっていたら、そのとおり。楽しそうな誕生日のお祝いがはじまりました。


あめあめふれふれ ねずみくん

2021年12月10日 | 絵本(日本)

     あめあめふれふれ ねずみくん/作・なかえよしお 絵・上野紀子/ポプラ社/2013年初版

 

「ポチッ」と雨。でも、カサがあれば だいじょうぶとねずみくん。

雨のなかであったカメさん、あひるさん、あしかくん、かばさん、ぞうさんも カサなんていらない、じゃまくさい、かっこわるいと いうばかり。

そんなねずみくんのところに いれてとやってきたのは ねみちゃん。

二人の相合傘をみおくる どぶつたちの うらやしそうな 表情が とっても やさしい。



余白がたっぷりな画面に、ちょこんとえがかれている ねずみくん。ねずみくんの絵本シリーズの30冊目ですが、オチに ほっこり。一冊を読み終えると シリーズの つぎの絵本もみたくなるのは間違いありません。


まりーちゃんのくりすます

2021年12月09日 | 絵本(外国)

     まりーちゃんのくりすます/文・絵 フランソワーズ 訳・与田準一/岩波の子どもの本/1975年初版

 

 サンタさんのプレゼントを あれやこれやと想像するマリーちゃんと、なんにももらえないわという白い羊のぱたぽん。

 一枚のすてきな赤いスカーフと、ぱたぽんにいうと 木のくつを暖炉のそばにおけないから サンタさんは わたしには おいていかないわと ぱたぽん。

 お人形をのせる車をもってきてくれるわと、まりーちゃんがいくと わたしには おいていかないわと ぱたぽん

 かみ合わない会話。まりーちゃんが 自分のプレゼントのことばかり話し続けます。

 それでも、ぱたぽんが プレゼントはもらえないわというと、まりーちゃんは 木の靴をつくっているおじさんのところで ぱたぽんのために 木のくつを買い、暖炉のそばにおきます。

 すると、クリスマスの朝、ぱたぽんのちいさなくつのなかにも・・・。

 

 ちょっぴり へそをまげてる ぱたぽんか なんともかわいらしい。”ぱたぽん”という名前も、一度聞くと忘れられません。

 まりーちゃんが、クリスマスのプレゼントを、心待ちにしているようすに、ほっこりです。


なぞの子もり歌・・宮城

2021年12月08日 | 昔話(北海道・東北)

      宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年

 

 とっぷり日が暮れて、旅僧がとまったのは親切な一軒の家。

 ご飯をごちそうになり、お風呂にもはいって、ぐっすりねむり、夜中にふっとめがさめると、子守歌が聞こえてきます。子守唄を歌っていたのはそこのががさま。

  ”りんがじんと、ががじんと、だんずることをもんすれば、旅僧をせっすとぐんだす。

  草にそうこないとときは、やんまとやんまを重ねべし。

  ねんねんころろ、ねんころろ。”

 不思議な子守り歌もあるもんだなあと思って聞いていた旅僧ですが、はっと気がつきます。

 「りんがじんと、ががじんと」というのは、となりの人とわが家の人
 「だんずることをもんすれば」というのは、語っていたことを聞くと
 「旅僧をせっすとぐんだす」・・旅の僧を殺す
 「草にそうこないとときは」・・草という字に、くさかんむりないのは「はやく」
 「やんまとやんまを重ねべし」・・山と山を重ねれば、出るという字

 つまり

 「ここの人と、となりの人が語っているのをきくと、旅僧を殺して、金をとって、早く出ていけ」ということ。

 そこの家のおやんつぁと、となりのおやんつぁが、研ぎ澄ました刀をもって、抜き足、忍び足、そっと旅僧の寝ている部屋にきてみると、布団はもぬけのから。旅僧に逃げられて、二人は地団太ふんでくやしがります。

 

 そこのががさま、旅僧も歌の意味がわかるほどの学問の力があったのですが、聞く方も試されそう。これまであったことのないめずらしい話です。

 注釈がないのですが、”ががさま”は 母親 ”おやんつぁ”は そこの親父さんでしょうか。


色彩り

2021年12月07日 | 日記

 花も散って、いま彩を添えているのは、サザンカとブルーベリー。

 つい先ごろまで、菊に蝶が蜜を吸いにきていましたが・・。

  


ぼくたちのやま

2021年12月07日 | 絵本(日本)

      ぼくたちのやま/谷内こうた/至光社/2018年初版

 

 久しぶりに訪れた町の様相が変貌していてびっくりすることが多い。

 それでも変わらないもののひとつが、小さいころ朝夕にながめた山。

 雪に覆われた山が、みどりにかわり、やがて紅葉に彩られ、また雪。

 季節の移り変わりをおなじ視点で さまざまな表情を描いていきます。

 まるで風景画を見るような絵本でした。

 今窓から見える近くの山は、そろそろ紅葉も 終わりです。


ぼくのたび

2021年12月06日 | 絵本(日本)

      ぼくのたび/みやこし あきこ/ブロンズ新社/2018年初版

 

 大きなかばんを持ち、自転車にのって、旅に出たぼく。

 飛行機に乗って、知らない町から知らない町へ。海岸を眺め、懐かしい友人のもとへ。

 虹を眺めながら車で、とおくへ とおくへ。

 でも、これは夢。小さくても、いごこちのいいホテルで、世界中のお客さんをむかえてきた ぼく。真夜中、仕事をおえ、しずかに目を閉じます。

 

 言葉も文化習慣もことなる多くの旅人をむかえてきたホテルマンですが、小さな町から一歩もでたことありません。そんなぼくの、世界中のお客さんにあいにいけたらという思いが伝わってきます。

 ホテルは交差点に似ています。様々な暮らしがつまっている人が交差しますが、交わることはありません。

 現実がモノクロ、空想が淡いカラーで描かれていますが、ホテルに泊まった人から届く手紙が壁一面に貼られているようすはカラー。

 願いは実現できるのでしょうか。

 リトグラフで描かれた味わい深い絵です。


長者のむこ・・宮城

2021年12月05日 | 昔話(北海道・東北)

       宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年

 

 助けた者から、助けてもらいメデタシになる昔話。

 貧しい男が、いじめられていたサル、カメ、アブをたすけて、先に進んでいくと長者さまの門口に立て札。

 「川こえて、杉の木のてっぺんで踊りこ おどったら、むすめのむこにする」という。

 男もやってみることにして、着るもの、扇、鉢巻き用の手ぬぐいまで渡され川まで。ところが大きな川で流れも急。そこへカメがあらわれ、カメの背中に乗って向こう岸へ。

 杉の木のところまでいってみると、高い高い木で、とても登れない。そこへサルがやってきて、男の持っていた着物を着て、扇を腰にさし、すいすいとのぼり 扇をかざして踊ります。

 むこにするといったものの、長者の本心は別。そこで、おおぜいの娘をあつめ、このなかにいるむすめに盃をやるようにいい、まちがったら むこにしないと言い出します。男は見たこともない娘だから、どこにいるかわからない。ここでアブの出番。それでめでたく長者のむこに。

 

 助け助けられるのが一度というのは、よくありますが、三度の繰り返しが続くのは日本には珍しい。ここにでてくる男は乞食とありますが、お金でサル、カメ、アブを助けています。いじめているのが”わらすたち”と、こどもですが、あくまで後半へのつなぎでしょうか。


ぼくのまちをつくろう

2021年12月04日 | 絵本(日本)

     ぼくのまちをつくろう/スギヤマカナヨ/理論社/2015年初版

 

 ぼくの家がここで、ここに学校があって・・と、好きなもの、必要なものを考えながら、ぼくが町をつくっていきます。

 はじめは真っ白なページに、ぽつんと一軒の家。ぼくのいえです。すぐに 遊びにいける友だちの家がちかくにあって、森や小川があって。

 白いページに、パン屋、スーパー、コンビニ、レストランなど色々のお店、幼稚園、学校、病院、公園、線路と駅などがつぎつぎあらわれます。

 放射状に道路がのびて、林や神社も。

 はじめ なにもなかったページが、どんどんとうまって、生活がしやすい町ができあがっていきます。

 ピースをはめ込むように町をつくるのが、とっても楽しそう。

 

 住んでいる町には、八百屋、魚屋、金物屋などの古びた看板も目につきますが、営業しているのはまれ。どこにいくにも車が必需品で、狭い道路で歩行者は大変。そして町には、子どもも含め人の姿はあまり見られません。

 活性化の動きも色々見られますが、こんな町にすんでいると、にぎやかな町ができあがるのがうらやましいかぎり。でも夢はもち続けなければ、実現しません。


もりのおくのクリスマスツリー

2021年12月03日 | 絵本(外国)

     もりのおくのクリスマスツリー/ユーヴァル・ゾマー・作 石津ちひろ・訳/ほるぷ出版/2019年

 

 12月といえばクリスマス。この時期にぴったり。

 背が伸びなくて ぐらぐらして みっともない 森のなかの一本の木。森が雪でまっしろに なったころ、まわりの木は、クリスマスツリーとして もらわれていき、ぼくだけが 残った。

 ひとりぼっちになった ぼくが「だ、だ、だれかいる?」とよびかけても だれにもきこえない。

 けれども夜が明けると 森の動物がやってきて 時間をかけて はっぱやはね、木の実や花で飾りつけをつけてくれたので とびっきりの クリスマスツリーに。あたりが暗くなると 流れ星がひとつ おちてきて、ぼくの あたまの てっぺんに。

 みんなに まもられているような きがして 最高のしあわせを感じた瞬間。ぼくは この森が うちなんだと 思う。

 

 一人ぼっちとおもっていても、どこかで見守ってくれる人、必要としてくれる人がいる。

 光る表紙、雪で真っ白な林のほか、季節ごとの林、夜の森の表情など見どころがいっぱい。