どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おしっこ ちょっぴり もれたろう

2023年06月15日 | ヨシタケ シンスケ

   おしっこ ちょっぴり もれたろう/ヨシタケ シンスケ/PHP研究所/2018年

 


 ちいさいとき、一度は経験があるかもしれないちょっぴりおもらし。

 「ちょっぴり」もれちゃった子が、ズボンをはいて 乾くまでと 散歩にでかけます。

 なんか困った顔をしている子に、聞いてみると

 ・洋服の首の後ろのタグがチクチクする

 ・なおしてもなおしても 靴下がずれる

 ・ほうれん草が歯にはさまってとれない

 ・はなのおくで はなくそが ピロピロして でてこない

 などなど、みんな悩みはそれぞれ。同じ悩みはありません。

 そとからみたら わかんないけど、「みんなそれぞれ、そのひとにしか わかんない、困ったことがあるんだな・・」


 悩みを 話し合える 共通の仲間が 引っ越して もれたろうは ぼくだけかなと 家に帰ると・・・


 最後、おじいちゃんの対応も素敵です。

 お母さんが おこるのも もっともですが、こんな時期は すぐに卒業です。どーんといきましょう。


飯を食わん嫁女・・宮崎

2023年06月14日 | 昔話(九州・沖縄)

        宮崎のむかし話/宮崎民話研究会編/日本標準/1975年

 

 昔、あるところに、けちんぼの男がおったと。

 嫁女をもらっても、三日も四日も飯を食わせなかったので、たまりかねた嫁女は、おいおい泣きながら逃げてしまう。男はまた嫁女をもらっても、やっぱり飯を食わせなかったので、二人目の嫁女も、怒って家を出てしまう。六人もの嫁女をもらっても、どれもこれも逃げてしまう。

 それで、「飯を食わん嫁女がおらんものか」と、村じゅうを歩き回るが、だれからもあきられて、だれも相手にしない。

 ところがある日、真っ白いひげのとしよりがやってきて、七人目の嫁女を紹介してくれた。

 としよりが連れてきたおなごは、からだはちいさいが、朝から晩までよく働く。それでも飯は一口も食べない。男のそばにいても、ひもじいようすもみせない。一年たち、三年たち、五年たっても、飯は食わず、欲しがりもしない。

 七年目のある晩、男がふと目を覚ますと、嫁女の姿が見えない。物音がするかまどのほうにいってみると、嫁女が飯を食っている音。ひとかかえもある釜でたいた飯を、おっきなどんぶりで、わしわし食っていた。

 男が問いただすと、七日に一度ずつ飯を食っていたという。怒った男は、泣きわめく嫁女を、荒縄で縛り、樽に詰め込んで、人買いのいる港に連れていき、高く売ろうとしたと。

 男が、金儲けができると思って樽をあけると、中から出てきたのは、嫁女でなく、白いひげのとしより。このとしよりは、強い力でにげまくる男を、あっという間に、つかまえると樽の中にいれてしまい、男は人買いに安く買われたと。

 

 七年間たって、ようやく気がつくのは、ほかの地域の「食わず女房」と、だいぶちがいます。
 また、人買いがでてきますが、子どもだけでなく、大人も対象になっていたのでしょうか。


コーギビルの村まつり

2023年06月13日 | 絵本(外国)

   コーギビルの村まつり/ターシャ・テューダー・作 倉野雅子・訳/河出書房新社/2023年

 

 アメリカの小さな村の村まつり。村といっても、住んでいるのは、コーギ犬とネコと、ウサギ、そしてボガードというトロルとよばれる妖精。

 村まつりはコーギビル音楽隊のファンファーレからはじまります。メインテントには、じまんの野菜、果物、ジャム、花、手芸品がならんでいます。屋台では、ドリンク、ポップコーン、ホットドッグ、ハンバーガーが売られ、のぞきからくりやメリーゴーランドも。

 村まつりには、地獄レース(絵からみると、どうやら火の上を飛び越しています)、パイの大食い競争、射的のコーナーもあり、最後は花火です。

 村まつりの最大のイベントは”ヤギレース”。優勝には銀貨100枚はいった優勝カップがもらえるのです。ネコのトムキャット一家が、ブラウンさんの最大のライバル。

 ブラウンさんの子ケイレブは、ヤギのジョセフィーンを、ボガードのマートから、ヤギを訓練するコツを、教えてもらっていました。

 ヤギレースの開始直前、ネコのエドガーからもらった眠り薬の入ったホットドッグを食べてしまったケイレブ。そして食事制限でうんざりしていたヤギのジョセフィーンは、ミートパイ13個、葉巻22本を食べて たおれてしまいます。

 しかし、マートの機転で、ジョセフィーンは、一等賞になります。

 

 ヤギレースのエピソードはともかく、見どころは、なんといっても村まつりに集まってきた無数!の動物たちが丁寧に描かれているところ。村まつり全体、レース応援、花火の様子が圧巻です。妖精のボガードがピノキオ風に描かれているのは、なじめない。

 ヤギレースのとき、ヤギのジャセフィーンが葉巻を食べたり、ロケットの花火の口を押し込まれたりしますが、いまだったら動物虐待かな。動物が動物を訓練するのも、しっくりこない。

 作者は30万坪の土地にすんでいたときがあるというのは、さすがアメリカらしい。

 
 この絵本の発行は2023年ですが、原著は1971年の発行。1999年に翻訳されていて、今回のは復刊です。3部作といいます。賞金の半分を大学進学のために貯金するのは、当時から大学に行くには大変だったということ。

梅雨の晴れ間

2023年06月13日 | 日記

 今日も雨とおもっていたら、台風が温帯性低気圧になって、関東は晴れ間。しかし蒸し暑い。

 このところの雨で、毎日 梅がポトリ ポトリ。もったいないと拾っても、次の日もやはりポトリポトリ。

 柿の小さな実は、雨だけでなく風でもポトリ。数百個ではきかない。柿は二年おきのようで、ことしは多そう。

 おまけに ビワの実も ポトリ。こちらは甘いせいか、落ちた実に、アリの群れがびっしり。


うなぎにきいて・・紙芝居

2023年06月12日 | 長谷川善史

   うなぎにきいて/脚本・桂 文我 絵・長谷川善史/童心社/2005年(12画面)

 

 ウナギ屋の看板を見た二人ずれ。かば焼きを頼むが、調理人が かぜでやすんでいるからとことわられる。どうしても食べたい二人ずれは、料理が下手というウナギ屋の主人に 頼み込み主人が調理することに。

 主人が 一番大きなウナギをつかむと ウナギは 上へ上へ。二人ずれから手を下に向けるよういわれ、手を下に向けると、ウナギは こんどは下へ下へ。「手を前に だしたら、いいがな」といわれ、両手を前に出すと、ウナギは ニュルニュルと前へ。主人は 店の留守番してくれと大声を上げ、店の外へ。

 ウナギのおとうり、ウナギのおとうりと どんどん前へ。走る姿を見た こどもたちが あとについていき、いぬも ねこもおいかけていきます。

 走る主人の前に 大きな川。川へドボンと落ちた主人は、それでもウナギをはなしません。ウナギと主人は、どんどん川上へ。

 どこへいくつもりと 聞かれた主人は・・・

 

 あ! オチがタイトルになっていました。

 ウナギをにぎりしめる主人の顔が なんともいえません。快調なテンポと関西弁、長谷川さんの絵で、落語風に展開し、上の年齢の子も楽しめる紙芝居です。


うごいちゃだめ!

2023年06月11日 | 絵本(外国)

   うごいちゃだめ!/文・エリカ・シルヴァマン 絵・B.D.シンドラー 訳・せな あいこ/アスラン書房/1996年

 

 湖で泳ぎと飛ぶ競争をしたあひると、がちょう。”うごいたら まけ”競争をして、勝ったほうが ほんもののチャンピオンということに。

 がちょうは かちん あひるは こちんと 身動きしない。

 はちが ぶんぶんぶん とびまわっても 二匹とも 動きません。

 うさぎが がちょうの首を滑り台にしても、あひるの みずかきに いたずらをしても 二匹とも 動きません。

 かあかあかあ からすのむれが せなかのうえに のったり、耳のそばで ぎゃあぎゃあ わめいたりしても 動きません。

 強い風が吹いて ふきとばされてしまった 二匹。

 そこへ きつがやってきて ごちそうが かってに ころがっていると よろこび、二匹を袋へ入れて家に帰ると、さっそく料理の準備。鍋にジャガイモ、トマト、にんじん、セロリ、かびちゃをきざんでほうりこみ、豆もひとつかみ。あじつけは にんにくと こしょう。

 きつねが、ふりむいても、がちょうも あひるも 動かない。

 「どちらにしようかな。おなかの いううとおり。がちょうかな。あひるかな。 こっちだ!」

 きつねが、がちょうを 鍋に入れようとすると・・。

 

 意地の張り合いが、きつねのでてくるところで 最高潮に達し、あわやというところまで、緊張感が増します。

 「ぐわあ~っ! あたしの ともだちを りょうりしちゃ だめ!」と、あひるが きつねの しっぽを むしり はなさきに かみつくと きつねは 森の奥へ にげだしてしまいます。

 最後に お互いに「きみが チャンピオン」と認めあい、きつねがつくった おいしい 野菜のシチューを 一緒に 食べます。

 

 読み聞かせでも大評判です。


かあさんうさぎのつなひき、かしこいカメのおはなし

2023年06月10日 | 絵本(昔話・外国)


   たのしいどうぶつ昔話 じょうずなわにのかぞえかた/マーガレット・メイオ・再話 エミリー・ボーラム・絵 竹下文子・訳/偕成社/1997年初版

 アフリカの昔話といいます。

 こうさぎが遊んでいるとゾウがやってきて、「さっさと道をあけないと、ふみつぶすぞ」と驚かせます。
 こうさぎが川ぎしの道まで逃げてくると、今度はカバが、「じゃまだ、じゃまだ!さっさと道をあけないと、ふみつぶすぞ」と驚かせます。

 こうさぎの話を聞いたかあさんうさぎが、小さい動物をおどかすなんて、ひとつこらしめてやらなくちゃ と綱をつくってゾウさんのところへ。
 もううちの子どもたちをおどかさないでといっても、ゾウはすきなことをして何が悪いといって、とりあいません。
 かあさんうさぎは綱引きをしたらどっちが強いかわかるからと、首に綱を結びます。
 そして今度はカバさんのところにいって、同じようにカバの首に綱を結びつけます。

 ゾウからもカバからもみえないところで「1,2の、3!」と合図すると、ゾウとカバは力いっぱい綱をひきます。ひきずったり、ひきずかれたり、なかなか勝負がつきません。
 ころあいを見て、かあさんうさぎが綱の真ん中を切ると、ゾウもカバもどしん!、ばちゃん!としりもち。

 かあさんうさぎが、うちの子どもを驚かさないでというと、へとへとになったゾウとカバは小さな声で、約束をします。

 それからはゾウもカバも、こうさぎをみるとぎょうぎよく道をゆずるようになります。

 誰かが傷つけられることもなく、おかあさんの子どもを思う気持ちがつたわってきて、ほほえましくなる昔話です。 

 

   かしこいカメのおはなし/フランチェスカ・マーティン・作 福本友美子・訳/ポプラ社/2000年

 アフリカタンザニアの昔話。展開は偕成社版とほぼ同様です。

 ウサギでなく、カメが いばりんぼのゾウとカバに綱引きをもちかけます。

 ゾウとカバの綱引きの場面が、なんとも微笑ましい。

 ゾウはカメのつま先に、力がかくれているとおもい、カバは甲羅の下かなと 首を かしげています。

 でてくる動物のスワヒリ語も興味深い。ちなみにカメはコペ、ウサギはキシングラ、ネズミはパニャです。    


バレエ団のねこ ピンキー

2023年06月09日 | 絵本(外国)

   バレエ団のねこ ピンキー/ノエル・ストレトフィールド・作 スザンヌ・スーパ・絵 田中潤子/のら書房/2023年

 

 金曜の夜は、バレエダンサーたちに給料がわたされます。ねこのピンキーにも50セントのはいった封筒がわたされます。ピンキーは封筒を開けるときいつもドキドキしていました。「あしたからは、こなくてけっこう」と、書かれた紙がはいっているかもしれないと、心配だったからです。

 ピンキーは劇場にいるネズミを捕まえるために、バレエ団からやとわれていましたが、じつはネズミが怖くて、ネズミとりとしては役たたずでした。

 新しい公演のさいごのリハーサルのとき、主役のバレリーナの足もとをネズミがはしりぬけたときピンキーは だれよりもはやく、だれよりもとおくへ ネズミから逃げたのです。そのため主役は足首をひねり、公演が 危ぶまれることになったのです。

 ピンキーが支配人から解雇をいいわたされ、おちこんで泣いているとき、ほかにも泣いている人がいました。それはまだ12歳の子で、主役の代役だったのです。代役の子には、おおきなチャンスでしたが、主役を演ずるための練習が、ほとんどできていなかったのです。そのとき、ピンキーは、いいことをおもいつきました。ピンキーは、バレエ団のリハーサルや公演も、すべてみていたので、演目の振り付けも知りつくしていたのです。

 代役の子は、ピンキーの踊りを見て、練習をつづけ、やがて開演を迎えます。公演が終わると、観客たちの大きな歓声。観客の前で、代役を務めた子から ピンキーへの感謝がつたえられると・・・。

 

 はじめは気位のたかい黒猫としてでてくるピンキーが、臆病者とけなされ、死んだほうがましだと落ち込みますが、おわりに拍手を浴びるシーンでは、ほこらしげです。
 
 絵は、白黒が基調で、色の塗り方も淡い感じで、だいぶ前の出版のようでしたが、1951年発行のものが、最近アメリカで復刊されたものでした。
 

リサとガスパール オペラざへいく

2023年06月08日 | 絵本(外国)

   リサとガスパール オペラざへいく/アン・グットマン・文 ゲオルグ・ハレンスレーベン・絵 石津ちひろ・訳/河出書房新社/2023年

 

 人気シリーズといいますが、ほかの絵本を見ていないので、でてくる登場人物に なじみのない名前も。


 リサとガスパールが 学校の授業で、オペラ座へ。

 遠すぎる座席で、舞台はほとんど見えず。

 オペラで楽しんだあと、休憩時間に、楽譜を失敬したふたり。歌詞を知りたかっただけでしたが、次の演目がはじまると さあ大変。オーケストラの人たちが、よつんばいになって なにかを 探していたのです。

 ガスパールが、これを見つけたからと楽譜を指揮者に届けると、びっくりするぐらい よろこばれて、指揮者席の横で 見学することに。



 オペラ座はオペラ座とおもっていたら、1875年に建設された「ガルニエ宮」と1989年に完成した「オペラ・バスティーユ」の二つがあって、この絵本にでてくるオペラ座は。ガルニエ宮。

 赤を基調にした豪華なオペラ座の内部を知ることができます。


むぎわらぼうしの むーぼくん

2023年06月08日 | 紙芝居

  むぎわらぼうしの むーぼくん/脚本・すとうあさえ 絵・丸山誠司/童心社/2017年(8画面)

 

 むーぼは、なっちゃんのむぎわらぼうし。なっちゃんが、むーぼを えだに ひっかけて 水着に着かえると じゃぶじゃぶ池で遊びはじました。そのとき 風が吹いて むーぼは、とばされてしまいました。

 落ちたところには、りすちゃんとねずみくん。

 むーぼが 「ぼくは おひさまから あたまをまもるのが しごと。きみたちも あついひは ぼうしをかぶったほうがいいよ」とはなすと、りすちゃんとねずみくんは、はっぱを あたまにまいてみました。

 ねずみくん 「あたまがひんやりする!」

 ふたりが むーぼにも ぼうしを 作ってくれました。ぼうしのうえに はっぱの ぼうし。

 むーぼが 「なっちゃん、あつくて こまっているんじゃないかな。かえらなくちゃ」。 ふたりに つれられて じゃぶじゃぶいけにいくと なっちゃんの声。

 なっちゃんは むーぼをかぶって おおよろこび。

 

 ぼうしの目が、プラスになったり、えがおになったり、とても チャーミング。

 帽子をかぶる必要が、素直につたわってきます。


とわちゃんとシナイモッゴのトトくん

2023年06月07日 | 田島征三

   とわちゃんとシナイモッゴのトトくん/田島征三/ひだまり舎/2021年

 

 とわちゃんが 誰もきづかないくらいの小さい池で見つけた魚は、「ぜつめつきぐしゅ」の珍しい魚シナイモツゴでした。

 ところが、その池も 埋め立てられることになって、シナイモツゴのトトちゃんは、とわちゃんとお母さんに助けられ、すてきな池に ひっこししました。そこには、大きいカエルに ちいさいカエル、ふとっちょカエル やせガエル。そのほか トンボやホタルの 子どもたち。イモリのおじさんは、みんなおとなになって 池の外へ ゆくのだと 教えてくれました。

 ある日、メダカたちが おいしい水が 流れこんでいる流れのほうへ のぼっていくのをみた トトは、流れを さかのぼっていくと、土橋の上に なとわちゃんが。「ぼくも おおきくなったら 水の外に でてゆけるの?」ときくと、とわちゃんが なにかいったけれど 流れの音に かきけされて 聞こえなかった。

 雪の降る夜、トトが うとうとしていると とわちゃんが ヤゴにのって 池の中までやってきて、「いっしょに とびだそう!」とさそいました。とわちゃんがのっていたヤゴは、トンボになって 水の外へ とびだした。トトは、むちゅうで おいかけた。

 トワちゃんはいつのまにか 田んぼの中にいた ホタルの子どもに のりかえ、くらい空へ とんでいってしまった。やみのなかに さびしくひかっている 小さな あかり。それは しんでいった さかなたちの タマシイ。

 とわちゃんが みたのは 夢でした。

 春になったら 冬の間に見た、夢を とわちゃんに 話してあげようとおもっていたら、とわちゃんも 「トトくん 空のおさんぽ たのしかったね!」と、話しかけてきました。

 ふたりとも、おなじ夢を見ていたのでした。

 

 いきものは、すきで「絶滅危惧種」になったわけではありません。人間のひとりよがりの開発行為が どこまで 許されるか 考えてしまいました。


ジャガイモ

2023年06月06日 | 紙芝居

   ジャガイモ/監修・清水清 構成・文 七尾純 写真・青山のぼる 久保秀一 鈴木公治/あかね書房/1993年(14画面)

 

 紙芝居を選ぶとき、季節にあったものを選ぼうと思うと、適当なものをえらぶのに苦労します。ジャガイモは、関東ではこの時期収穫をむかえるので、ぴったり。

 「フォトかみしばいかがくのアルバム」のシリーズ。

 ジャガイモが育つまで、その途中で、土をほりおこし、成長の度合いを おおきな画面で確認できます。花を見ることはありますが、根っこの部分は みようと意識しないかぎりむずかしい。

 ジャガイモはトマトと同じ仲間ときくと、ちょっと びっくりかも。トマトは上の方に実がつきますからね。

 画面の三分の二ほどいっぱいに、花が咲いてる光景は、壮観ですが、大規模農園でないとみられない光景です。


小さなエリガー・・アムール地方のむかし話

2023年06月05日 | 創作(外国)

   勇敢なアズムーン アムール地方のむかし話/D・ナギーシキン・作 G・バヴリーシン・画 大橋千明・訳/リブロポート/1991年

 

 昔話をもとにした創作とありました。再話との違いが微妙です。もとになっているのはアムール川流域にすむ少数種族のむかし話ですが、アムール川は、ロシアと中国との国境をながれている世界十番目の大河。1991年の発行ですが、ソ連が出てきて隔世の感があります。

 

 継子が、母親のいじめを次々に乗り越えていきます。

 女の子エリガーを助けてくれるのは、父親がつくってくれたおもちゃ。さらにシラカバ、シダも。

 猟師の父親が、猟の最中にトラにころされます。人間の血の味を知ったトラが、集落のブタやトナカイ、イヌをさらいはじめます。継母から新しいチュマーシカをつくるため、シラカバの皮をはいでくるようにいわれたエリガーは、トラと遭遇し、一度は「去れ」といいますが、またとびかかったので、二本のシラカバが、トラをはさみつけます。エリガーは槍でトラを退治し、しっぽを切り取り集落にむかいます。

 集落の人々は、天幕をとりこわしていました。エリガーが「トラはもう来ない」と、トラのしっぽをみせると、最長老が、「亡霊が夜な夜な集落に現れ、みんな殺されてしまう」といいます。ところが、エリガーが「トラにたちさるようにたのんだが、トラは耳をかさなかった」というと、「そうか、それなら話が違う」と、別の土地に移ることやめることにしました。

 エリガーが長上着に刺繍をすると、継母は「最初からやりなおし、もっと色鮮やかに、もっと工夫をこらせ」と、どなり、ののしります。川の岸でエリガーが泣いていると、シダや、花や草が、長上着のうえに、誰も見たことのないような美しい模様が出来上がります。集落には、刺繍の上手な人がたくさんいましたが、エリガーの長上着の模様をみて、うらやましさとおどろきのあまり口をぽかんとあけました。

 エリガーにはらをたてた継母が、「トナカイの毛で刺繍をした長上着がほしい!」と、いいだします。夏のことで、この時期のトナカイの毛はみじかくて、刺繍はできません。エリガーが泣きだすと、父親が作ってくれたおもちゃのトナカイが、どんどん成長し、ふさふさした毛を、からだから振り落とし、すぐに小さくなってしまいます。それでも気に入らない継母は、たどりつくのに数日はかかる集落まで行って、おばあさんから針をもらって、次の日の朝までもどってくるようにいいます。

 こんどは、父親が作ってくれた、そり用の一組の犬が、おばあさんのいる集落までおくりとどけてくれます。病気でふせっていたおばあさんに、チョウセンニンジンの根を食べさせると、おばあさんは元気になり、継母からたのまれた針をだしてくれます。ただ、針をわたすときは、めど(針の糸を通す穴)を自分のほうにむけるよう注意します。

 エリガーが、針の先を継母に向けわたすと、針は指の間をいききしはじめ、指と指をぬいあわせてしまいます。父親が作ったおもちゃがエリガーをたすけていることに気がついた継母は、おもちゃを火の中に投げ込みます。助かったのはイヌいっぴき。

 エリガーとイヌが逃げ出すと、継母は、あとをおいかけますが、小道で足をすくわれ、川におちてしまいます。その瞬間、継母は、小さな槍をエリガーになげつけますが、こんどは、槍が、「では、さようなら、ちいさなご主人さま! もうおわかれです!」と叫ぶと、継母のところまでとんでいきます。

 

 創作とは言いますが、まさに昔話の世界。母親はフクロウになり、娘とイヌは、月にすむようになります。


チョコレート屋のねこ

2023年06月04日 | 絵本(外国)

   チョコレート屋のねこ/スー・ステイントン・文 アン・モーティマー・絵 中川千尋・訳/ほるぷ出版/2013年

 

 これといった名物のない、静かで退屈な村。その小さな村に、代々つづく小さなチョコレート屋がありました。お客はめったにきません。笑うことを忘れてしまったおじいさんがチョコレートをつくり、村人が、ねずみを取らないとばかにしていたねことのふたり暮らし。

 ある日、おじいさんは ふと思いついて、チョコレートねずみをつくってみました。山積みになったチョコレートのひとつを ちょっぴかじってみたねこは そのおいさにびっくり。ほろ苦い味が、口いっぱいにひろがり、心がウキウキ弾んできて、ひげと前足が勝手に動い
てしまうほど。ねこは、こんなにおいしいんだもの、だれかにたべてもらわなくちゃと、おもしろいことを考えつきます。

 ねこが、チョコレートねずみを、八百屋、パン屋、食料品屋、花屋、金物屋に置くと、そのチョコレートをたべたお店の人々は すばらしいことを思いつきます。

 八百屋さんは、チェリーボンボン、果物の砂糖づけにチョコレートを絡めたもの

 パン屋さんは、チョコレートをたっぷりはさんだチョコカステラや、チョコレートロールケーキ

 食料品やさんは、いろんなナッツと はちみつ、ふしぎなかおりのスパイス ぎっしりつまった かたくて おおきな板チョコ

 花屋さんとは、すみれや桜草の砂糖づけがのったチョコレート

 金物屋は、星や月、さかなや、うさぎ、にわとりの形のチョコレート型をつくりました。

 やがて、村の子どもたちもやってきて、いろんなアイディアをだし、村中の人が おじいさんに話しかけ、おじいさんも気軽に だれにでも 返事をするようになりました。それでもやっぱり おじいさんは 笑いません。

 しかし、チョコレートねずみをたべてみたおじいさんに、なにかが、頭から、指先、そしてつま先へと かけぬけてたのです。おじいさんにも ひらめきましたとも。すてきで、ゆめのような、最高の考えが!

 チョコレートの彫刻がうまれたのです。立派なお城、帆船、いまにも火をはきそうなドラゴン。たべるのはもったいない、すてきな作品。

 村は、すっかり有名になり、おおぜいの人が、とおくから おじいさんのみせにやってくるようになりました。店の奥には、チョコレートの彫刻。

 

 つぎからつぎへとでてくるチョコレートのなんと おいしそうなこと。上下の帯状にえがかれているチョコレートにも 注目です。どんな注文にもこたえられるおじいさんの 職人魂に、ねこが 火をつけてくれました。

 巻末にはチョコレートの歴史、当初は不老長寿にきく魔力があると考えられていたこと、チョコレートは、ビター、ミルク、ホワイトの三つにわけられること、ねこにチョコレートを食べさせると病気になってしまうことなどにも、ふれられています。

 

ネズミのてんぷら・・福岡

2023年06月03日 | 昔話(九州・沖縄)

         福岡のむかし話/福岡県民話研究会編/日本標準/1983年

 

 ネズミのてんぷら? これはこれは??

 直方の清徳というとんちのある商人が、てんぷら屋にもちかけたのは、持ち込んだ品物をてんぷらにあげるというもの。「何ばてんぷらにするとかい」と聞いたてんぷら屋に、材料は言わなかった清徳さん。

 翌日、清徳さんは、「ネズミ十ぴき一文で買う」と、大声でふれあるきます。直方の人は、急に増えたネズミに手を焼いていましたから、ネズミをとって清徳のもとに 持っていきました。

 清徳さんは、その日買い占めたネズミを、てんぷら屋に持ち込み、明日の朝まで 仕上げるよう頼み、翌日、そのてんぷらを さびしい山の中に 運びます。そして、誰が買うかわからないと首をかしげるてんぷら屋に、帯につけた紐を持たせ、木に登らせました。

 清徳は、「今にキツネが、てんぷらを買いにやってくる。キツネが木の葉を拾って、銭にしたら、紐をひっぱれ」と説明します。てんぷらのにおいを嗅ぎつけたキツネが、あちこちの山から谷から、木こりに化けたり、子どもに化けたりして、てんぷらを買いにきました。

 てんぷら屋は、目をさらのようにして、キツネが銭を化かして作るのを見張りました。木こりに化けたキツネがやってくると、ピョコンピョコンと、紐が引けました。

 「つまらん、つまらん。木の葉の銭じゃ、このネズミのてんぷらは、売れん。ほしかったら、ほんものの銭をもってくることじゃ。」と、次から次へとやってくるキツネを 追い払った清徳さん。キツネたちは、おいしそうなにおいのするネズミのてんぷらが、たべたくて たべたくてたまりません。それもぐずぐずしていたら、売り切れになってしまいます。そこで、町へ行って、ほんものの銭をもってきました。こうして、あくる日も、あくる日も、直方のまちに、ネズミがいなくなるまで、清徳さんは、キツネから本物の銭をもらって、大金もうけをしました。

 ただ、この銭、キツネが、馬のくそを、おいしそうなまんじゅうにして、売ったり、ミミズをうどんにばけさせて、うどん屋に売ったり、川の泥を豆腐に化けさせて、町の者に売ったもの。ネズミがいなくなる代償も 大きかった。

 

 聞いたことのない内容。まだまだ さまざまな昔話がありそうです。