オプジーボ来年2月に半値 患者急拡大で緊急措置 超高額のがん治療薬
2016年11月16日 (水)配信共同通信社
優れた効果はあるものの、極めて価格の高い新型がん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は16日、来年2月から薬価を50%引き下げる案を中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に示し、了承された。対象疾患が増えたため薬を使える患者が急拡大し、医療保険財政を圧迫するとの指摘が上がっていた。
国が定める薬価の改定は原則2年に1度(次回は2018年度)だが、厚労省は「(医療保険財政への)影響が極めて大きく、緊急的に対応する」と説明。年間販売額が予想以上に増えて1500億円を超えた場合、薬価を最大50%下げられる特例を援用し、異例の大幅値下げに踏み切る。
値下げ後の価格は100ミリグラム約36万5千円。厚労省は18年度改定で、薬価設定のルールを抜本的に見直し、あらためて算定する。販売元の小野薬品工業(大阪市)は不服意見の提出を検討するという。
保険診療の場合、患者の自己負担は薬価の1~3割だが、毎月の負担額に上限を設ける高額療養費制度があるため、患者が支払う金額は変わらず、利用者が急激に増えることもないとみられる。
政府は社会保障費の圧縮に向け、医療・介護分野で高齢者の負担増などを検討しているが、オプジーボの値下げにより、来年度予算で200億円弱を抑制できる見込み。
オプジーボは当初、一部の皮膚がんを対象に保険適用され、患者数が少ないため、100ミリグラム約73万円の薬価が認められた。その後、肺がんへの効能追加で対象患者が大幅に拡大したが、薬価は見直されなかった。患者1人への投与で年3500万円かかるとされる。
厚労省はこれまで、値下げは17年度に最大25%にとどめ、18年度に追加で引き下げる方針を示していた。欧米での販売価格が日本の半分以下であることなどから、政府内で調整した結果、時期を前倒しし、値下げ幅も拡大した。
小野薬品工業はオプジーボの16年度の売り上げを出荷額ベースで1260億円と見込むが、厚労省は流通コストなどを勘案した薬価で計算し、特例の対象となる1500億円を超えると判断した。
※オプジーボ
「免疫チェックポイント阻害剤」という新しいメカニズムで作用するがん治療薬。国内では小野薬品工業が2014年9月に発売した。一般名はニボルマブで、点滴投与する。ヒトの体にはがん細胞などを排除する「免疫」の機能がある一方、がん細胞への攻撃を抑制する分子もある。こうした分子の活動を「阻害」することで免疫の力を回復させ、がん治療に活用する仕組み
2016年11月16日 (水)配信共同通信社
優れた効果はあるものの、極めて価格の高い新型がん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は16日、来年2月から薬価を50%引き下げる案を中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に示し、了承された。対象疾患が増えたため薬を使える患者が急拡大し、医療保険財政を圧迫するとの指摘が上がっていた。
国が定める薬価の改定は原則2年に1度(次回は2018年度)だが、厚労省は「(医療保険財政への)影響が極めて大きく、緊急的に対応する」と説明。年間販売額が予想以上に増えて1500億円を超えた場合、薬価を最大50%下げられる特例を援用し、異例の大幅値下げに踏み切る。
値下げ後の価格は100ミリグラム約36万5千円。厚労省は18年度改定で、薬価設定のルールを抜本的に見直し、あらためて算定する。販売元の小野薬品工業(大阪市)は不服意見の提出を検討するという。
保険診療の場合、患者の自己負担は薬価の1~3割だが、毎月の負担額に上限を設ける高額療養費制度があるため、患者が支払う金額は変わらず、利用者が急激に増えることもないとみられる。
政府は社会保障費の圧縮に向け、医療・介護分野で高齢者の負担増などを検討しているが、オプジーボの値下げにより、来年度予算で200億円弱を抑制できる見込み。
オプジーボは当初、一部の皮膚がんを対象に保険適用され、患者数が少ないため、100ミリグラム約73万円の薬価が認められた。その後、肺がんへの効能追加で対象患者が大幅に拡大したが、薬価は見直されなかった。患者1人への投与で年3500万円かかるとされる。
厚労省はこれまで、値下げは17年度に最大25%にとどめ、18年度に追加で引き下げる方針を示していた。欧米での販売価格が日本の半分以下であることなどから、政府内で調整した結果、時期を前倒しし、値下げ幅も拡大した。
小野薬品工業はオプジーボの16年度の売り上げを出荷額ベースで1260億円と見込むが、厚労省は流通コストなどを勘案した薬価で計算し、特例の対象となる1500億円を超えると判断した。
※オプジーボ
「免疫チェックポイント阻害剤」という新しいメカニズムで作用するがん治療薬。国内では小野薬品工業が2014年9月に発売した。一般名はニボルマブで、点滴投与する。ヒトの体にはがん細胞などを排除する「免疫」の機能がある一方、がん細胞への攻撃を抑制する分子もある。こうした分子の活動を「阻害」することで免疫の力を回復させ、がん治療に活用する仕組み