ダウン症の人「毎日幸せ」9割超 「検査前に実態知って」 厚労省研究班調査
2016年11月24日 (木)配信朝日新聞
ダウン症の人の9割以上が「毎日幸せ」と感じている――。厚生労働省の研究班による、当事者への初の意識調査の結果がまとまった。産む前に、ダウン症など胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」が広がる中、当事者のことをよく知ってもらうことで、適切なカウンセリングや支援体制につなげる狙いで行われた調査だ。
調査は昨年10~12月、日本ダウン症協会の協力を得て、協会員5025世帯にアンケートを送付。12歳以上の852人(平均年齢22・9歳)が回答した。働いている人が約6割だった。
「毎日幸せに思うことが多いか」との質問には「はい」が71%、「ほとんどそう」が20%だった。「友達をすぐ作ることができるか」との質問にも、計74%が肯定的に回答した。海外で過去に行われたダウン症の当事者の研究結果ともほぼ一致する。米国で284人の当事者に聞いた調査(2011年)でも、99%が「幸せ」と回答していた。
日本ダウン症協会の水戸川真由美理事は「ふだん接している我々からすれば驚くべきデータではないが、数値化されたことに意味がある。当事者は自分の障害を深刻に受け止めているわけではないことを知って欲しい」と話している。
新型出生前診断は、導入から3年で計3万615人が受け、染色体異常が確定した417人のうち94%が中絶を選択した。
ダウン症は、知的発達の遅れや心疾患を伴うことが多い。発達はゆっくりだが、豊かな感性や知性を発揮して活躍する人もいる。調査を担当した三宅秀彦・京都大特定准教授(遺伝医療)は「検査を受けるかどうか決める前に、ダウン症の実態を知って欲しい」としている。
■人生に厚み、子のおかげ
東京都に住むダウン症の加藤錦さん(33)は2001年から、都内のパン屋で契約社員として働く。月給は約10万円。結婚に備えて貯金し、休日にはカラオケでKinKi Kidsの曲を歌う。「毎日、仕事のみんなと仲良くできるのが楽しい」と話す。
母の美代子さん(67)は、錦さんの生後約1カ月でダウン症の告知を受けた。「障害児なんていらない」との思いがよぎったが、「ゆっくりだが普通に成長できる」という担当医の言葉で前向きに考えられたという。
美代子さんは「この子のおかげで、私の人生には厚みや幅がでた。錦がダウン症だったことは、私にとってプラスになりました」と話している。
2016年11月24日 (木)配信朝日新聞
ダウン症の人の9割以上が「毎日幸せ」と感じている――。厚生労働省の研究班による、当事者への初の意識調査の結果がまとまった。産む前に、ダウン症など胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」が広がる中、当事者のことをよく知ってもらうことで、適切なカウンセリングや支援体制につなげる狙いで行われた調査だ。
調査は昨年10~12月、日本ダウン症協会の協力を得て、協会員5025世帯にアンケートを送付。12歳以上の852人(平均年齢22・9歳)が回答した。働いている人が約6割だった。
「毎日幸せに思うことが多いか」との質問には「はい」が71%、「ほとんどそう」が20%だった。「友達をすぐ作ることができるか」との質問にも、計74%が肯定的に回答した。海外で過去に行われたダウン症の当事者の研究結果ともほぼ一致する。米国で284人の当事者に聞いた調査(2011年)でも、99%が「幸せ」と回答していた。
日本ダウン症協会の水戸川真由美理事は「ふだん接している我々からすれば驚くべきデータではないが、数値化されたことに意味がある。当事者は自分の障害を深刻に受け止めているわけではないことを知って欲しい」と話している。
新型出生前診断は、導入から3年で計3万615人が受け、染色体異常が確定した417人のうち94%が中絶を選択した。
ダウン症は、知的発達の遅れや心疾患を伴うことが多い。発達はゆっくりだが、豊かな感性や知性を発揮して活躍する人もいる。調査を担当した三宅秀彦・京都大特定准教授(遺伝医療)は「検査を受けるかどうか決める前に、ダウン症の実態を知って欲しい」としている。
■人生に厚み、子のおかげ
東京都に住むダウン症の加藤錦さん(33)は2001年から、都内のパン屋で契約社員として働く。月給は約10万円。結婚に備えて貯金し、休日にはカラオケでKinKi Kidsの曲を歌う。「毎日、仕事のみんなと仲良くできるのが楽しい」と話す。
母の美代子さん(67)は、錦さんの生後約1カ月でダウン症の告知を受けた。「障害児なんていらない」との思いがよぎったが、「ゆっくりだが普通に成長できる」という担当医の言葉で前向きに考えられたという。
美代子さんは「この子のおかげで、私の人生には厚みや幅がでた。錦がダウン症だったことは、私にとってプラスになりました」と話している。