AMR啓発へ官民会議 - 国民に抗菌薬適切使用促す
2016年11月4日 (金)配信薬事日報
政府会議が初会合
国際的な脅威となっている薬剤耐性菌(AMR)に対する国民の理解を深め、抗菌薬の適切使用に向けた主体的な取り組みを官民で促す「AMR対策推進国民啓発会議」(議長:毛利衛日本科学未来館長)の初会合が1日に開かれた。国民一人ひとりが抗菌薬の適切な使用に努めるよう普及啓発を進めると共に、医師や薬剤師などの医療従事者にも必要な場合にのみ抗菌薬を処方し、適切な服薬指導を行うことなど、国を挙げて取り組むべき内容を共有した。また、AMR対策の普及に賛同する日本薬剤師会、日本製薬工業協会など関係団体の取り組みも示され、今後どのような取り組みを行うべきか議論。「薬剤対策広報大使(仮称)」の設置などを決めた。
初会合の冒頭、塩崎恭久厚生労働相があいさつに立ち、「2050年には、AMRによって亡くなる人の数が現在の癌による死亡者数を上回るといわれている」と問題意識を示し、「抗菌薬については、どの疾患にどの程度使われているかを示したデータが不足しているだけでなく、医師は抗菌薬の使用を減らすという意識を持たずに処方する傾向にある」と指摘。「AMRは重要な問題であり、克服しなければ人類の危機につながるという認識を共有したい」と述べた。
この日の会合では、厚労省や農林水産省などの行政機関、日本医師会などの団体や医療研究機関などが、AMRに対する取り組みを紹介した。構成員メンバーである製薬協は、会員企業の関連施設が感染症に関する企画展を開催したことに言及。AMR関連の普及啓発を企画展内で行うことを依頼すると共に、他の会員企業にも同様の企画展を開くよう要請したことを紹介した。
その上で、製薬協に期待されている役割が新薬の開発にあるとし、AMRの新薬開発に積極的に取り組むよう改めて会員企業に呼びかけたことなどを報告した。
また、日薬は、抗菌薬の適正使用について、薬剤師として患者への啓発活動を積極的に行っていく姿勢を示したほか、生涯学習支援システムでAMRを防ぐためのe-ラーニング資材を作成し、会員に提供していることなどを紹介した。日本病院薬剤師会は、感染症対策に相当の知識と経験を持つ薬剤師を感染制御認定薬剤師、感染制御専門薬剤師として認定していることを示した。
構成員からは、「AMRを認識する人は増加しているが、一般の国民は医療に精通していないため、身体の仕組みや病気について教えることから始めるべき」「専門職への啓発・教育では、患者の支援や予防に重点を置いた内容が必要」「地域によって医療現場の力の入れ方に差があるため、偏りを是正するよう自治体の権限のあり方も含めて国が対応すべき」などの意見が出た。
その上で、今後はシンポジウムや研究会等の開催、マスメディアやSNSによる情報発信、「薬剤対策広報大使(仮称)」の設置など、国民にAMRの問題を認識してもらう活動を行っていくことを確認した。
2016年11月4日 (金)配信薬事日報
政府会議が初会合
国際的な脅威となっている薬剤耐性菌(AMR)に対する国民の理解を深め、抗菌薬の適切使用に向けた主体的な取り組みを官民で促す「AMR対策推進国民啓発会議」(議長:毛利衛日本科学未来館長)の初会合が1日に開かれた。国民一人ひとりが抗菌薬の適切な使用に努めるよう普及啓発を進めると共に、医師や薬剤師などの医療従事者にも必要な場合にのみ抗菌薬を処方し、適切な服薬指導を行うことなど、国を挙げて取り組むべき内容を共有した。また、AMR対策の普及に賛同する日本薬剤師会、日本製薬工業協会など関係団体の取り組みも示され、今後どのような取り組みを行うべきか議論。「薬剤対策広報大使(仮称)」の設置などを決めた。
初会合の冒頭、塩崎恭久厚生労働相があいさつに立ち、「2050年には、AMRによって亡くなる人の数が現在の癌による死亡者数を上回るといわれている」と問題意識を示し、「抗菌薬については、どの疾患にどの程度使われているかを示したデータが不足しているだけでなく、医師は抗菌薬の使用を減らすという意識を持たずに処方する傾向にある」と指摘。「AMRは重要な問題であり、克服しなければ人類の危機につながるという認識を共有したい」と述べた。
この日の会合では、厚労省や農林水産省などの行政機関、日本医師会などの団体や医療研究機関などが、AMRに対する取り組みを紹介した。構成員メンバーである製薬協は、会員企業の関連施設が感染症に関する企画展を開催したことに言及。AMR関連の普及啓発を企画展内で行うことを依頼すると共に、他の会員企業にも同様の企画展を開くよう要請したことを紹介した。
その上で、製薬協に期待されている役割が新薬の開発にあるとし、AMRの新薬開発に積極的に取り組むよう改めて会員企業に呼びかけたことなどを報告した。
また、日薬は、抗菌薬の適正使用について、薬剤師として患者への啓発活動を積極的に行っていく姿勢を示したほか、生涯学習支援システムでAMRを防ぐためのe-ラーニング資材を作成し、会員に提供していることなどを紹介した。日本病院薬剤師会は、感染症対策に相当の知識と経験を持つ薬剤師を感染制御認定薬剤師、感染制御専門薬剤師として認定していることを示した。
構成員からは、「AMRを認識する人は増加しているが、一般の国民は医療に精通していないため、身体の仕組みや病気について教えることから始めるべき」「専門職への啓発・教育では、患者の支援や予防に重点を置いた内容が必要」「地域によって医療現場の力の入れ方に差があるため、偏りを是正するよう自治体の権限のあり方も含めて国が対応すべき」などの意見が出た。
その上で、今後はシンポジウムや研究会等の開催、マスメディアやSNSによる情報発信、「薬剤対策広報大使(仮称)」の設置など、国民にAMRの問題を認識してもらう活動を行っていくことを確認した。