(声)ドローンで処方薬を運びたい
2016年11月18日 (金)配信朝日新聞
医師 澤野豊明(福島県 26)
私は福島県南相馬市で働く外科医だ。先日、浪江町の応急仮設診療所に赴いた。浪江町は全住民が町外に避難しており、避難指示解除に向けた準備宿泊で戻ってきた人たちを診察したのだ。
5年半ぶりに戻ってきた80代の男性は「年寄りに一番必要なのは医療だ」と話した。町内の自宅に戻っても最寄りの病院は10キロも離れており、処方箋(せん)を受け取っても20キロ離れた薬局に行かなければならないという。
病院は、遠くても我々が在宅医療を行うことで対応可能だ。問題は薬。私はドローン活用に注目している。
県による福島浜通りロボット実証区域にある南相馬市は、宅配ドローンの実証実験の検討を始めたという。ドローンで処方薬など医療物品を運搬できれば、薬局が遠くて行けないという問題を解決できるだろう。しかし、現行法では、処方薬は薬剤師が患者に対面で販売しなければならない。
何とかならないものだろうか。ドローン開発者は「技術的には今すぐにでも可能だ」と話す。福島の復興は時間との勝負だ。未来の遠隔診療や在宅医療のヒントにもなると思うのだが。
2016年11月18日 (金)配信朝日新聞
医師 澤野豊明(福島県 26)
私は福島県南相馬市で働く外科医だ。先日、浪江町の応急仮設診療所に赴いた。浪江町は全住民が町外に避難しており、避難指示解除に向けた準備宿泊で戻ってきた人たちを診察したのだ。
5年半ぶりに戻ってきた80代の男性は「年寄りに一番必要なのは医療だ」と話した。町内の自宅に戻っても最寄りの病院は10キロも離れており、処方箋(せん)を受け取っても20キロ離れた薬局に行かなければならないという。
病院は、遠くても我々が在宅医療を行うことで対応可能だ。問題は薬。私はドローン活用に注目している。
県による福島浜通りロボット実証区域にある南相馬市は、宅配ドローンの実証実験の検討を始めたという。ドローンで処方薬など医療物品を運搬できれば、薬局が遠くて行けないという問題を解決できるだろう。しかし、現行法では、処方薬は薬剤師が患者に対面で販売しなければならない。
何とかならないものだろうか。ドローン開発者は「技術的には今すぐにでも可能だ」と話す。福島の復興は時間との勝負だ。未来の遠隔診療や在宅医療のヒントにもなると思うのだが。