過労死ゼロの実現遠く 企業の「意識」頼みに限界 「表層深層」過労自殺で電通強制捜査
2016年11月8日 (火)配信共同通信社
厚生労働省が7日、新入社員の女性が過労自殺した電通の強制捜査に乗り出した。政権が掲げる働き方改革の柱である長時間労働抑制が進まない背景には、労使合意の上限を超えた残業に行政のチェックが行き届かない構造上の問題がある。いくらムチを強めても企業側の意識が変わらなければ過労死ゼロの実現は難しく、政府の「本気度」にも疑問符がついたままだ。
▽強硬姿勢
立冬の暦どおりに冷え込んだ7日の朝。東京・汐留の電通本社ビルに東京労働局の担当者約30人が家宅捜索に踏み込んだ。高橋(たかはし)まつりさん=当時(24)=の遺族が過労自殺を公表して1カ月。支社、子会社も含めた立ち入り調査から強制捜査へと畳みかける厚労省の姿勢は強硬そのものだ。
「この件はもうわれわれのところで判断できるレベルのものではなくなった」。ある厚労省幹部は立件を急ぐ政権の意向をにおわせる。
国の基準を超える残業時間の上限を労使で合意していた電通。高橋さんのケースでは残業が月約105時間に及んだこともあった。自己申告に基づく会社の記録では労使協定の上限をぎりぎり下回っており、遺族は「過少申告の指示があった」と主張している。違法な残業隠しの有無は捜査の焦点になる。
▽青天井
労働基準法は、労働時間を原則1日8時間、週40時間と規定。これを超えて労働者を働かせるためには労使が書面で協定(三六協定)を結ぶ必要がある。厚労省が定める残業時間の基準は月45時間までだが、繁忙期などを想定した「特別条項」で年6カ月までならこの上限を超えて働かせることができる。
だがこうした規制が十分機能しているとは言い難い。特別条項に上限がなく、事実上働かせ放題の「青天井」になっており、協定を結んでも守ってすらいない企業も多いのが実情だ。
広告最大手企業で起きた過労死問題の余波は今後、他業界に及ぶ可能性がある。特に労働集約型の代表格である運送業界はイメージ悪化に対する危機感が強い。火の粉を振り払おうと社内通報制度の設置などを急ぐ動きもあるが、「会社の意識があまりに低く、外部からの力でもないと改善は期待できない」(大手運送会社の40代課長)との声も聞こえてくる。
▽足元
厚労省は昨年の調査で、長時間労働が疑われる全国約8500事業場の半数超で違法な時間外労働を確認した。消しゴムで記録を改ざんして定時退社に見せかけるなど悪質な例もあった。
長時間労働抑制の旗を振る厚労省をはじめ、霞が関の中央省庁も例外ではない。労働組合の調査によると、中央省庁で昨年「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をした人は9・0%に上り、省庁別では厚労省の労働部門がワーストの21・3%だった。
現場をチェックする労働基準監督官は全国で約3千人。過労死問題に詳しい弁護士は「労基署の業務量は膨大で、大幅増員が必要」と指摘するが実現の見込みは薄い。チェックする側の足元もお寒い状況だ。
政府は今後、三六協定の在り方を見直し、絶対的な上限規制の導入を検討する方針で、罰則や執行面の対策強化など「どうやってきちんと守らせるか」(政府関係者)がポイントになる。
安倍晋三首相の周辺は「首相は高橋さんのツイッターに目を通している」と首相の関心の高さを強調する。今後働き方改革の議論で過労死防止がさらにクローズアップされそうだ。
人間、死すまで働けるのです。
戦争という仕事は、死を覚悟のうえするのです。
侍は、死を覚悟で殿様につかえるのです。
親は子を死して守るのでしょうか?
種族そんぞくのため戦争はしますけど
なぜ人はそんなにも命が捨てられるのでしょうか?