高齢期の睡眠時間延長は認知症のリスク【米国神経学会】
睡眠9時間以上で認知症リスク2倍
米国学会短信2017年3月14日 (火)配信 精神科疾患神経内科疾患
高齢者の1日9時間以上の睡眠は脳変性の初期徴候ならびに認知症リスクが上昇していると考えられる可能性があるとの研究結果が明らかになった。フラミンガム研究の解析。米国神経学会(AAN)が2月22日、Neurology誌に掲載。
研究グループは、フラミンガム研究に参加した2457人の定期健康診査結果を用いて検討を実施。参加者の平均年齢は72歳。追跡期間10年で234人(全例の10%)が何らかのタイプの認知症に罹患。全例の8%に当たる181人がアルツハイマー病と診断されていた。96人(4%)が追跡開始時点で9時間以上睡眠していると回答しており、75人(3%)が睡眠時間が9時間未満から9時間以上に変化したと回答していた。解析の結果、9時間以上睡眠していた人は、そうでない人に比べ認知症発症率が2倍上昇。睡眠時間が9時間未満の認知症発症率は9%(2361例中215例)だったのに対し、9時間以上の群の認知症発症率は20%(96例中19例)であった。
追跡期間中に睡眠時間が9時間未満から9時間以上に移行した群の認知症リスクは2.5倍(75例中16例)、アルツハイマー病のリスクは2倍(75例中11例)とより高かった。追跡開始以前(13年前)から1日の睡眠時間が9時間以上の人の認知症リスク上昇は見られなかった。
1日の睡眠時間が6-9時間の場合に対し、9時間以上の場合は思考処理やタスク実施能力が低下し、脳容積が減少していた。研究グループによると両群の検査スコアの差は年齢にして12歳、脳容積の差は5歳分に相当していた。ただし、今回の検討は認知症発症患者数が少数であるために、年齢による差の推計は正確ではないとの見解もあわせて示している。また、睡眠時間がより長い群は高校の学位がない、軽度の認知機能障害を有する人の割合が多かった。これらの因子は認知症の予測因子とされている。高校の学位を持たない人で高齢期の1日の睡眠時間が9時間以上だった場合の認知症リスクはそうでない群の6倍上昇していた。
研究グループは、今回の検討から睡眠時間が長くなることが神経変性疾患の早期のマーカーとなる可能性が示唆されたと結論。ただし、睡眠時間を減らしても認知症リスクは低下しないだろうとの見解を示している。
関連リンク
SLEEPING LONGER? IT MAY BE A SIGN OF INCREASED DEMENTIA RISK
睡眠9時間以上で認知症リスク2倍
米国学会短信2017年3月14日 (火)配信 精神科疾患神経内科疾患
高齢者の1日9時間以上の睡眠は脳変性の初期徴候ならびに認知症リスクが上昇していると考えられる可能性があるとの研究結果が明らかになった。フラミンガム研究の解析。米国神経学会(AAN)が2月22日、Neurology誌に掲載。
研究グループは、フラミンガム研究に参加した2457人の定期健康診査結果を用いて検討を実施。参加者の平均年齢は72歳。追跡期間10年で234人(全例の10%)が何らかのタイプの認知症に罹患。全例の8%に当たる181人がアルツハイマー病と診断されていた。96人(4%)が追跡開始時点で9時間以上睡眠していると回答しており、75人(3%)が睡眠時間が9時間未満から9時間以上に変化したと回答していた。解析の結果、9時間以上睡眠していた人は、そうでない人に比べ認知症発症率が2倍上昇。睡眠時間が9時間未満の認知症発症率は9%(2361例中215例)だったのに対し、9時間以上の群の認知症発症率は20%(96例中19例)であった。
追跡期間中に睡眠時間が9時間未満から9時間以上に移行した群の認知症リスクは2.5倍(75例中16例)、アルツハイマー病のリスクは2倍(75例中11例)とより高かった。追跡開始以前(13年前)から1日の睡眠時間が9時間以上の人の認知症リスク上昇は見られなかった。
1日の睡眠時間が6-9時間の場合に対し、9時間以上の場合は思考処理やタスク実施能力が低下し、脳容積が減少していた。研究グループによると両群の検査スコアの差は年齢にして12歳、脳容積の差は5歳分に相当していた。ただし、今回の検討は認知症発症患者数が少数であるために、年齢による差の推計は正確ではないとの見解もあわせて示している。また、睡眠時間がより長い群は高校の学位がない、軽度の認知機能障害を有する人の割合が多かった。これらの因子は認知症の予測因子とされている。高校の学位を持たない人で高齢期の1日の睡眠時間が9時間以上だった場合の認知症リスクはそうでない群の6倍上昇していた。
研究グループは、今回の検討から睡眠時間が長くなることが神経変性疾患の早期のマーカーとなる可能性が示唆されたと結論。ただし、睡眠時間を減らしても認知症リスクは低下しないだろうとの見解を示している。
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