三重大 自閉症に新診断方法 世界初、聴覚過敏の原因解明
2017年3月14日 (火)配信伊勢新聞
【津】三重大学(津市)は十三日、聴覚過敏を併発した自閉症患者を確認する問診方法として、音がやってくる方向の認識能力の有無が有効であると発表した。診断方法の確立されていない自閉症で「科学的根拠のある問診」と強調。また、この問診方法を見つける過程で、聴覚過敏の原因は音の伝達経路の障害にあることを世界で初めて解明した。
発達障害の一つである自閉症は、先天性の脳機能障害で、コミュニケーションがうまく取れない、行動や興味が偏っているなどの症状がある。患者の中には、人の声や室外機の音など特定の音に対して敏感に反応する聴覚過敏を併発する人が一定数いるが、原因は解明されていなかった。
聴覚過敏の原因を解明して自閉症の診断方法につなげたのは、三重大大学院医学系研究科発生再生医学の江藤みちる助教(41)ら四人。妊娠初期のマウスに胎児の発達を阻害する薬を投与して生ませたマウスと、聴覚に関わる細胞を通常のマウスと比較した。
江藤氏によると、自閉症のマウスでは、左右の耳から入った音の情報が集まる神経の集合体部分で、音の信号を抑制する神経経路に障害が見つかった。「信号が脳に過度に伝わるため、興奮しすぎてしまう」と考え、聴覚過敏の原因は神経経路の障害と判断した。
障害のあった神経経路には、音の方向を判断する機能も備わっていたため、江藤氏は「音の方向が分かっているかを確認すれば自閉症の正確な診断につながる」と結論付けた。この研究成果を日本小児科学会の英文機関誌のオンライン上で昨年十二月に公開した。
三重大医学部付属病院など県内三病院で自閉症の患者を臨床してきた成田正明教授(55)は「これまで診た自閉症患者の半分くらいが聴覚過敏だった」と説明。「音がどこから聞こえてくるか分かっているかという質問は保護者にとっても答えやすいだろう」とした。
2017年3月14日 (火)配信伊勢新聞
【津】三重大学(津市)は十三日、聴覚過敏を併発した自閉症患者を確認する問診方法として、音がやってくる方向の認識能力の有無が有効であると発表した。診断方法の確立されていない自閉症で「科学的根拠のある問診」と強調。また、この問診方法を見つける過程で、聴覚過敏の原因は音の伝達経路の障害にあることを世界で初めて解明した。
発達障害の一つである自閉症は、先天性の脳機能障害で、コミュニケーションがうまく取れない、行動や興味が偏っているなどの症状がある。患者の中には、人の声や室外機の音など特定の音に対して敏感に反応する聴覚過敏を併発する人が一定数いるが、原因は解明されていなかった。
聴覚過敏の原因を解明して自閉症の診断方法につなげたのは、三重大大学院医学系研究科発生再生医学の江藤みちる助教(41)ら四人。妊娠初期のマウスに胎児の発達を阻害する薬を投与して生ませたマウスと、聴覚に関わる細胞を通常のマウスと比較した。
江藤氏によると、自閉症のマウスでは、左右の耳から入った音の情報が集まる神経の集合体部分で、音の信号を抑制する神経経路に障害が見つかった。「信号が脳に過度に伝わるため、興奮しすぎてしまう」と考え、聴覚過敏の原因は神経経路の障害と判断した。
障害のあった神経経路には、音の方向を判断する機能も備わっていたため、江藤氏は「音の方向が分かっているかを確認すれば自閉症の正確な診断につながる」と結論付けた。この研究成果を日本小児科学会の英文機関誌のオンライン上で昨年十二月に公開した。
三重大医学部付属病院など県内三病院で自閉症の患者を臨床してきた成田正明教授(55)は「これまで診た自閉症患者の半分くらいが聴覚過敏だった」と説明。「音がどこから聞こえてくるか分かっているかという質問は保護者にとっても答えやすいだろう」とした。