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iPS創薬、世界初治験へ 骨の難病、京大が9月以降 候補物質を発見

2017年08月05日 16時40分54秒 | 医療情報
iPS創薬、世界初治験へ 骨の難病、京大が9月以降 候補物質を発見
2017年8月2日 (水)配信共同通信社

 筋肉の中に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬の候補を、京都大の戸口田淳也(とぐちだ・じゅんや)教授(幹細胞生物学)らのチームが人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って発見し、臨床試験(治験)を9月以降に始めると1日、発表した。
 患者からiPS細胞を作れば、症状を体外で再現できることを利用したもので、京大によると、iPS細胞を使って開発した薬の治験は世界初。再生医療だけでなく創薬でのiPS細胞活用が進展した形だ。
 チームは、FOP患者のiPS細胞から病気の特徴を持った細胞を作り、さまざまな薬の候補物質を加えて効果などを調べ、約6800種の物質の中から、免疫抑制剤「ラパマイシン」が異常な骨の形成を抑えることを突き止めた。ラパマイシンは国内ではラパリムスという商品名でリンパ脈管筋腫症の治療薬として販売されている。
 新たな疾患への適用となるため、安全性や有効性を検証する治験が必要。現場の医師が主体となって進める医師主導治験を京大病院で進めるため、審査委員会の承認を得た。対象は6歳以上60歳未満の患者20人で、東京大、名古屋大、九州大の各病院でも実施予定。
 チームは実験で、FOP患者のiPS細胞から作った細胞をマウスに移植した上で、ラパマイシンを投与し、異常な骨ができにくくなることを確認している。
 FOPはACVR1という遺伝子の変異が原因とされ、腱(けん)、靱帯(じんたい)の中にも骨ができ、手足の関節の動きが悪くなり、呼吸筋に影響が出ると呼吸困難になることもある。
 戸口田教授は記者会見し「予想外のスピード。これまでできなかったことをiPS細胞で突破できた。ただ、どんな副作用が出るか分からないので過度な期待はしてはいけない」と話した。
 研究進展に期待を寄せてきたFOP患者の山本育海(やまもと・いくみ)さん(19)=兵庫県明石市=は「協力したい。少しでも良い成果が得られればいい。あらゆる難病がなくなるのがゴール」と語った。
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奪われた夢 麻酔直後に医師不在…妻急変 長男も重体、夫「安全管理見極めて」

2017年08月05日 16時37分36秒 | 事故事件訴訟
奪われた夢 麻酔直後に医師不在…妻急変 長男も重体、夫「安全管理見極めて」
事故・訴訟 2017年8月2日 (水)配信毎日新聞社

 神戸市の産婦人科医院(診療所)で痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)で出産した際に障害を負い、意識不明のまま今年5月に35歳で亡くなった女性の夫の男性(32)=東京都=が毎日新聞の取材に応じた。「あの日を境に全てが変わってしまった。完全な人災だ」と語り、再発防止のため医院側の意識改革と質の向上を訴えた。【藤田愛夏】
 男性によると、女性は2015年9月、神戸市西区の産婦人科医院で院長から硬膜外麻酔を受けた直後、容体が急変。搬送先の別の病院で帝王切開で生まれた長男(1)とともに脳に大きなダメージを受け、約1年8カ月後に亡くなった。長男は生まれてから意識不明のままで「いつどうなるかわからない状態」という。男性側の代理人弁護士によると、医院側はミスを認め、示談に応じた。
 同医院を選んだのは女性の実家から徒歩で通える場所にあったからだった。小柄な体形で難産が予想されたため、院長から無痛分娩を勧められたという。当初女性は不安を口にしていたが、夫婦で話し合い、「病院でやることだから大丈夫だよね」と決断した。
 分娩当日、院長は麻酔をしてから外来診察でその場を離れた。その間に女性の体調は悪化し、意識を失った。男性が最後に聞いたのは消えそうな「息ができない」という言葉だった。異変は麻酔をした直後からあった。女性は分娩室に移動する際、床に足を着けても、自力で立ち上がれなかった。搬送先の病院の麻酔医から「麻酔後、急変に備えて経過観察をするのは当然だ」と聞き、あぜんとした。
 男性は会社を半年間休み、その後も東京で仕事をしながら毎週末、神戸市内の入院先に通って看病を続けたが、女性は今年5月、息を引き取った。女性は出産前、胎児の様子を映した動画を楽しそうに見せ、「家族みんなで旅行に行きたいね」と誕生を心待ちにしていた。別々の病院に入院した母と子が対面できたのは数回だった。長男は今も兵庫県内で入院している。
 街で幼い子供連れの家族を見ると、胸が苦しくなる。「医療機関は命を預ける場所。見た目のきれいさなどではなく、医師の技術や緊急時の対応など安全管理が万全なのか見極めるのが何よりも重要だ」と語った。
 ◇大阪など重大事案6件
 無痛分娩をめぐっては今年4月以降、大阪、京都、兵庫の4医療機関で生命に関わる重大事案が計6件発覚した。日本産婦人科医会は6月、全国の約2400の医療機関に無痛分娩に関する初の調査を実施。約40万件の出産のうち無痛分娩は5.2%で、07年度から2.6ポイント増えた。病院(ベッド数20床以上)よりも規模の小さい診療所での実施が約6割を占めた。
 陣痛促進剤の医療事故で長女を失った「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人の勝村久司さんは、機能が集約化され、麻酔科医や新生児科医のそろった病院での無痛分娩が普及する欧米との違いを指摘。「日本では技術や経験が乏しい産科医でも1人で無痛分娩を実施している。国が安全のための基準を定めるべきだ」と話している。
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