日野原さん最後のエッセー よど号は人生最大の事件 名物連載「生きかた上手」
2017年8月8日 (火)配信共同通信社
7月に105歳で死去した聖路加(せいるか)国際病院(東京)名誉院長、日野原重明(ひのはら・しげあき)さんが17年連載していた名物エッセー「生きかた上手」の最終回が載ったシニア女性向けの月刊誌「ハルメク」の9月号が10日、発売される。偶然乗り合わせ、人質となった「よど号ハイジャック事件」(1970年)を振り返る内容で、「人生における最大のターニングポイント」だったとしている。
事件で4日間も機内に拘束された日野原さんは解放されたとき「月から還(かえ)ってきたアポロ(宇宙船)の乗組員のような気持ちでした」とつづる。事件をきっかけに野心や欲が消え「この美しい世の中のために何かをしたい、と心から思った」と記し、ターニングポイントを「どのように受け止めるかで、人生の意味は変わってくる」と読者にアドバイスしている。
最後の担当編集者で副編集長の岡島文乃(おかじま・あやの)さんによると、最終回の執筆は5月下旬。当時、岡島さんが見舞いに訪ねると、日野原さんは土産のもなかを少しだけ食べ、「一緒に写真を撮りましょう」と言ったという。
「生きかた上手」は、88歳だった2000年春に月刊誌「いきいき」(現「ハルメク」)で連載がスタートし、207回まで数えた。初期の連載をまとめた同名書籍は120万部を超えるベストセラーとなり、日野原さんが連載を通じて発信した「人はいくつになっても生きかたを変えられる」というメッセージは大きな反響を呼んだ。
総務省によると、65歳以上の高齢者人口は現在3300万人を超えるが、連載開始当時は2200万人。「これから本格的な高齢社会に入るという時期で、後半生を不安に思うシニア女性は今より多かった。そうした方々が前向きに生きるための指針になった」と岡島さん。
日野原さんの死の直後から編集部には読者から「寂しい」「生きる支えでした」といった内容のはがきが数多く寄せられた。書籍の「生きかた上手」は3千部を増刷。
「ハルメク」9月号では、追悼特集も組まれ、日野原さんの晩年の歩みをたどった。小学校を訪問し、子どもたちに平和や命の大切さを訴えかけたことや、東日本大震災の被災地を慰問した模様などを紹介している。
「ハルメク」は、通信販売による定期購読のみ。問い合わせは電話(0120)925083。
※よど号ハイジャック事件
1970年3月31日、日航機「よど号」が、赤軍派のメンバー9人に乗っ取られた日本初のハイジャック事件。羽田を離陸後間もなく乗っ取られ、福岡、ソウルで乗客を解放。9人の要求通り、よど号は北朝鮮に到着し、メンバーはそのまま亡命した。
2017年8月8日 (火)配信共同通信社
7月に105歳で死去した聖路加(せいるか)国際病院(東京)名誉院長、日野原重明(ひのはら・しげあき)さんが17年連載していた名物エッセー「生きかた上手」の最終回が載ったシニア女性向けの月刊誌「ハルメク」の9月号が10日、発売される。偶然乗り合わせ、人質となった「よど号ハイジャック事件」(1970年)を振り返る内容で、「人生における最大のターニングポイント」だったとしている。
事件で4日間も機内に拘束された日野原さんは解放されたとき「月から還(かえ)ってきたアポロ(宇宙船)の乗組員のような気持ちでした」とつづる。事件をきっかけに野心や欲が消え「この美しい世の中のために何かをしたい、と心から思った」と記し、ターニングポイントを「どのように受け止めるかで、人生の意味は変わってくる」と読者にアドバイスしている。
最後の担当編集者で副編集長の岡島文乃(おかじま・あやの)さんによると、最終回の執筆は5月下旬。当時、岡島さんが見舞いに訪ねると、日野原さんは土産のもなかを少しだけ食べ、「一緒に写真を撮りましょう」と言ったという。
「生きかた上手」は、88歳だった2000年春に月刊誌「いきいき」(現「ハルメク」)で連載がスタートし、207回まで数えた。初期の連載をまとめた同名書籍は120万部を超えるベストセラーとなり、日野原さんが連載を通じて発信した「人はいくつになっても生きかたを変えられる」というメッセージは大きな反響を呼んだ。
総務省によると、65歳以上の高齢者人口は現在3300万人を超えるが、連載開始当時は2200万人。「これから本格的な高齢社会に入るという時期で、後半生を不安に思うシニア女性は今より多かった。そうした方々が前向きに生きるための指針になった」と岡島さん。
日野原さんの死の直後から編集部には読者から「寂しい」「生きる支えでした」といった内容のはがきが数多く寄せられた。書籍の「生きかた上手」は3千部を増刷。
「ハルメク」9月号では、追悼特集も組まれ、日野原さんの晩年の歩みをたどった。小学校を訪問し、子どもたちに平和や命の大切さを訴えかけたことや、東日本大震災の被災地を慰問した模様などを紹介している。
「ハルメク」は、通信販売による定期購読のみ。問い合わせは電話(0120)925083。
※よど号ハイジャック事件
1970年3月31日、日航機「よど号」が、赤軍派のメンバー9人に乗っ取られた日本初のハイジャック事件。羽田を離陸後間もなく乗っ取られ、福岡、ソウルで乗客を解放。9人の要求通り、よど号は北朝鮮に到着し、メンバーはそのまま亡命した。