(1分で知る)におい:4 がんを嗅ぎ分ける線虫
2017年2月22日 (水)配信朝日新聞
体長1ミリの実験動物「線虫」を使って、がんを嗅ぎ分ける研究が進んでいる。
線虫が持つ嗅覚(きゅうかく)センサーの種類は、犬よりも多いと言われ、よりたくさんのにおいを嗅ぎ分けられる。50~100匹の線虫を容器の中央に置き、近くに人の尿を一滴垂らす。がん患者の尿だと近づいていくが、健康な人だと離れていく。線虫の嗅覚神経を壊すと、この行動は見られなかった。
実験では、がん患者24人のうち23人(96%)を陽性、健康な人218人のうち207人(95%)を陰性と判断できた。同じがん患者を既存の腫瘍(しゅよう)マーカーで調べると、陽性と判断できたのは20%前後だった。
2015年に論文を発表した九州大助教の広津崇亮(たかあき)さんは「がん細胞が出す微量な化学物質をエサの大腸菌のにおいと勘違いしている可能性がある」と話す。今のところ、がんの有無しか区別できないが、大腸がんや胃がんなど、がんの種類を嗅ぎ分けられる線虫も開発中という。
線虫は4日で世代交代し、安くて扱いやすい。3年後の実用化を目指して臨床研究が進んでいる。実用化すれば、がん検診の負担を大幅に減らせるかもしれない。
(石倉徹也)
2017年2月22日 (水)配信朝日新聞
体長1ミリの実験動物「線虫」を使って、がんを嗅ぎ分ける研究が進んでいる。
線虫が持つ嗅覚(きゅうかく)センサーの種類は、犬よりも多いと言われ、よりたくさんのにおいを嗅ぎ分けられる。50~100匹の線虫を容器の中央に置き、近くに人の尿を一滴垂らす。がん患者の尿だと近づいていくが、健康な人だと離れていく。線虫の嗅覚神経を壊すと、この行動は見られなかった。
実験では、がん患者24人のうち23人(96%)を陽性、健康な人218人のうち207人(95%)を陰性と判断できた。同じがん患者を既存の腫瘍(しゅよう)マーカーで調べると、陽性と判断できたのは20%前後だった。
2015年に論文を発表した九州大助教の広津崇亮(たかあき)さんは「がん細胞が出す微量な化学物質をエサの大腸菌のにおいと勘違いしている可能性がある」と話す。今のところ、がんの有無しか区別できないが、大腸がんや胃がんなど、がんの種類を嗅ぎ分けられる線虫も開発中という。
線虫は4日で世代交代し、安くて扱いやすい。3年後の実用化を目指して臨床研究が進んでいる。実用化すれば、がん検診の負担を大幅に減らせるかもしれない。
(石倉徹也)