接触通知、開くと「接触なし」 コロナ確認アプリに不具合か 厚労省、問い合わせ数千件
2020年9月23日 (水)配信西日本新聞
新型コロナウイルスの感染者と接触した可能性をスマートフォンに通知する「接触確認アプリ」の導入から3カ月。「スマホに接触通知が届くけど、アプリ画面を開くと『接触は確認されていない』となります」。西日本新聞あなたの特命取材班にこんな声が寄せられた。記者にも同様の通知が...。アプリを運用する厚生労働省に問い合わせると、「同じような不具合で、8月から数千件の問い合わせを頂いております」。何が起きているのか。
9月4日。「COVID―19にさらされた可能性があります」とのプッシュ通知が記者のスマホに届いた。厚労省の「接触確認アプリ」のボタンを急いで押してみた。
ところがアプリ上では、過去14日間の接触について「陽性者との接触は確認されませんでした」。取材班にもこの時期、似た経験をした投稿が寄せられた。「私と同じような知人が近くに2人います」という。
さらに台風10号が九州北部に最接近していた7日午前。記者のスマホに「今週このデバイスで1件の接触の可能性が特定され、接触確認アプリと共有されました」と別の通知が届いた。厚労省のアプリをダウンロードすると自動的に機能するスマホ本体の通知だ。やはり接触か、と不安になったが、連動するアプリを再び開くと「接触は確認されませんでした」。
台風取材が落ち着いたのを見計らい、7日昼にアプリに表示された「接触確認アプリサポートセンター」に質問メールを送信。「これは取材を兼ねています」と書いた。11日夕、ようやく返信が届いたが、今度は厚労省クラスター(感染者集団)対策班のメールアドレスに誘導された。
やっと厚労省の担当者に行き着いた。「接触通知があったにもかかわらず、接触確認アプリを開いても『接触なし』と表示されるケースは、米アップル社iPhone(アイフォーン)でのみ確認されている。アプリの不具合か、機種側の問題かは分かっていません」との回答だった。
アイフォーンの最新バージョンでは、「設定」画面の「接触通知」から「接触チェックの記録」を見ることができる。その日、1メートル以内で15分以上接触した人の「キー」が列挙されている。この中に陽性者が含まれていなければ、同じ画面にある「一致したキーの数」の数字がゼロと表示されるという。
記者は記録が残る7日以降の分を確認してみたが「一致したキー」はゼロ。それでも不安なので、クリニックを訪ね、以前の感染を確認できる抗体検査を受けたが「陰性」だった。
同省はメールで「不具合」の問い合わせを受け付け、「一致したキー」がゼロではない場合、PCR検査を受けるよう促しているという。原因特定や機能改善のため、アプリの動作情報を集める機能を備えた修正版を10月以降配布する予定としている。
接触確認アプリサポートセンターメール=appsupport@cov19.mhlw.go.jp