Mars&Jupiter

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「カルミナ・ブラーナ」の「今は喜びの季節」を聴きながら、鶴ヶ峰から二俣川まで歩く

2007-11-23 10:29:15 | カール・オルフの作品
昨日は鶴ヶ峰駅から二俣川まで歩きました。
途中聴いたオルフの「カルミナ・ブラーナ」の演奏は、
プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団のものだ。
私がベスト盤として選ぶとしたらこの演奏だろう。
合唱や独唱だけでなく、管弦楽の演奏はいいし、
録音は1974年であるが、申し分ない。
高校時代に長野でレコードの視聴会があり、
そこで初めてプレヴィン盤を聴き、
「カルミナ・ブラーナ」の世界を知ったのである。

第22曲の「今は喜びの季節(Tempus est iocundum)」は、
独唱と少年合唱、合唱および管弦楽による音楽である。
詩の内容は、長い冬が終わり、待ち焦がれた春が到来した。
恋の季節がやってきたのだから、若者たちは恋をし、
今を楽しもうじゃないかという内容だ。
「おお、おお、おお(Oh,oh,oh)、
私は花盛り(totus floreo!)、
あの娘への愛ですっかり燃え上がっている
(Iam amore virginali totus ardeo;)、
新しい、新たな愛だ(novus, novus amore est,)、
死んでしまいそうだ(quo pereo!)」
と繰り返し登場するリフレインにより、
音楽は徐々に盛り上がり、クライマックスを形作る。

「とても、いとしい方(Dulcissime)」は、
あなたの前に私の身を委ねるという意味の短い曲。
それに続く「白い花とヘレナ(BLANZIFLOR ET HELENA)」では、
高貴な女神への讃歌が、高らかに歌われ最高潮に達するのだが、
このあとがカール・オルフの憎い演出である。
ここで「おお、運命の女神よ(O Fortuna)」が再び登場する。
聴き手は圧倒的な勝利感を得たかと思うと、
一気に絶望感へと突き落とされるのである。
この素晴らしい全曲の構成ゆえに、
「カルミナ・ブラーナ」は名曲とされるのだろう。

ところで「今は喜びの季節(Tempus est iocundum)」は、
中世楽器で再現した原曲も比較して聴いてみるといい。
アーリー・ミュージック・クヮルテットの演奏する
トマス・ビンクレー盤の第2集では13曲目にあるが、
これは素朴な演奏であるが、しみじみ聴きたい人にはいい。
演出がかかっている元気な演奏はナクソスから出ている。
アンサンブル・ユニコーンとアンサンブル・オニ・ウィタルス。
この演奏による盤は最後にこの曲がおさめられているが、
若々しい人々の恋の季節を高らかに歌い上げている。
もちろんニュー・ロンドン・コンソートが演奏する
ピケット盤の「カルミナ・ブラーナ第1巻」にもある。
これは2つの盤の折衷という感じだ。
ちなみにリフレインの前の「Oh,oh,oh,totus floreo!」だが、
原曲は「O,O,totus floreo!」であるので、
ここだけオルフと原曲のわずかな差異である。

ところでバイエルンの州立図書館には、
そのカルミナ・ブラーナの実物があるようだ。
その図書館で買うことのできる本で
その図書館発行の「生き生きとした本の遺産
(LEBENDIGES BÜCHERERBE)」がある。
188,189ページにカルミナ・ブラーナの説明と、
チェスをする2人の姿がカラーの挿絵で載っている。
中世ヨーロッパの人々の娯楽をうかがえる。
大切にしたい本の一つである。
コメント (2)
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