Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

芥川也寸志のエローラ交響曲、後藤香織さんの演奏会、泉谷しげるの春夏秋冬、そして横浜から山下公園まで

2008-11-20 08:01:34 | 古典~現代音楽日本編
昨日は横浜から山下公園近くの県民ホールまで歩きました。
後藤香織さんの30th Anniversary Concert 2008に
かつての同僚Fさんからお誘いを受けて聴きにいきました。
自分の歳に合わせて29曲オルガンとピアノを演奏する
彼女のパワフルな精神力もなかなかであるが、
ラインベルガーのヴァイオリンとオルガンのための6つの小品作品150の
第一曲「テーマと変奏曲」を実演で聴けたのは、とにかくよかった。
多彩なジャンルの音楽に挑むところも凄いが、
泉谷しげるが最後に登場し、春夏秋冬を肉声で歌い、
頭上の脅威をオルガン伴奏で歌うというサプライズな企画は、
音楽はジャンルで聴くものではないという考えなのだろう。

山下公園へ行く途中聴いたのは1925年生まれの芥川也寸志の作品。
略歴については管弦楽曲編で触れたので省略する。
エローラ交響曲は、1958年作曲され、
同年作曲者自身の指揮でNHK交響楽団によって初演された。
エローラ交響曲はインドの都市エローラから由来しており、
エローラの石窟寺院はあまりにも有名である。
作品は16の断片(正式には15の断片)から構成されている。
静かにゆるやかに始まる音楽は神秘的であり、宗教的だ。
混沌とした音楽は、時々エネルギーを発散させながら、
時には不協和音を伴い、オスティナート的な音楽を展開する。
静と動が交差し、軽快であったり、重々しい音楽であったり、
様々な部分を見せ、人間の強い生命力を感じさせる音楽である。
ダイナミックな音楽はストラヴィンスキー的でもあり、
リズミックな曲の作りは、聴いていて爽快である。
最後は冒頭のような静かで神秘的な音楽となって終わる。

なお、今回とりあげた補足分の交響曲日本編の
CD等の情報は、以下のアドレスに載せてあります。
http://www1.ocn.ne.jp/~bocchi07/symphony-cd-japan.html
でNEWと赤字で表示されているのが該当する曲です。
参考にしていただければ幸いです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

別宮貞雄の交響曲第1番を聴きながら、二俣川から鶴ヶ峰まで歩く

2008-11-19 07:04:26 | 古典~現代音楽日本編
昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いたのは1922年東京生まれの別宮貞雄の作品。
彼は東京帝国大学理学部物理学科に進み、
物理学者と目指していたが、作曲家としての夢も持っており、
1943年からは池内友次郎に作曲を学んだ。
1946年からは新声会というグループに入り、作品を発表し、
1951年からはパリ音楽院に留学し、
ミヨー、リヴィエ、メシアンなどに師事した。

交響曲第1番は、1961年作曲された。
日本フィルハーモニー交響楽団の委嘱作品である。
第一楽章アレグロ・モデラートは、一種のソナタ形式で書かれ、
感傷的で情熱的な第一主題から始まるが、
第二主題の前にフルートが奏でる旋律は神秘的である。
そして日本的な音階に基づく第2主題も魅力的だが、
そこにはフランス的な音色もみることができる。
第ニ楽章アレグロ・ヴィヴァーチェは、スケルツォである。
序奏のあとに現れる荒々しさ、狂乱した世界、そして幻想的で、
軽快さを持ちながらも、ダイナミックな部分もある音楽だ。
最後はいったん静まり、幻想的な感じのまま終わる。
第三楽章レントは、弦楽器によってゆったりと始まる。
メランコリーな雰囲気の主題は、悲愴感をも漂わせている。
行進曲風の小太鼓のリズムに乗った音楽は対照的である。
一時情熱的に盛り上がり、映画音楽風の描写的な曲になり、
曲の最後の方で、クライマックスを迎え、
弦楽器により主題が再び奏され、静かに終わる。
第四楽章アレグロ・コン・ブリオは、一種のソナタ形式。
第一主題は祝祭的で行進曲風の明快な旋律であり、
第二主題は哀愁漂う旋律で、展開部はそれら主題を中心に
激しい感じの音楽になるが、小太鼓のリズムに乗って、
展開される音楽はショスタコーヴィチ風でもある。
再現部は第二主題から始まり、
やがて行進曲風の第一主題も再現され、
最後第一楽章の第一主題で終わるところがいい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松村貞三の交響曲(交響曲第1番)を聴きながら、二俣川から弥生台まで歩く

2008-11-18 06:05:43 | 古典~現代音楽日本編
昨日は二俣川から弥生台駅まで歩きました。
途中聴いたのは1929年生まれの松村貞三の作品。
彼の略歴については器楽曲・室内楽曲編で触れたので省略する。
交響曲(交響曲第1番)は、1953年作曲された。
新日本フィルハーモニー交響楽団から委嘱を受けて作曲された。
第一楽章は、冒頭から激しい音楽が展開される。
強烈なリズムとぶつかりあう音の塊、間の置かれた静寂な空間、
そしてオスティナート的な音楽は聴き手に強烈な印象を与える。
ダイナミックであり、かつエネルギッシュな音は、
生命を与えられたかのように自由自在に動き回る。
最後は静寂の中、ハープが神秘的な音を奏でる。
第ニ楽章は、その神秘的なハープの伴奏から始まり、
フルート・ソロが抒情的な旋律を吹く。
弦楽器は揺れる風の音を表現しているかのようである。
そのあと、弦楽器中心に対位法風な音楽を奏で、
その後管楽器中心のおだやかな音楽が展開される。
第三楽章は、クラリネット・ソロに始まる管楽器群により
旋律が繰り返され、やがて弦楽器に引き継がれ、
管楽器も加わり、一時的な盛り上がりをみせ、
ピアノによりこの音型は際限なく繰り返される。
やがて金管楽器が加わり、繰り返される音型は、
他の楽器に引き継がれながら、大きなうねりとなっていく。
オスティナート的で、そして生命力を感じる曲である。
最後は鐘の音だけが繰り返され、短いトゥッティで終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大木正夫の交響曲第5番「ヒロシマ」を聴きながら、横浜から星川まで歩く

2008-11-17 03:42:49 | 古典~現代音楽日本編
昨日は横浜から星川駅まで歩きました。
途中聴いたのは1901年生まれの大木正夫の作品。
彼の略歴については管弦楽曲編で触れたので省略する。
交響曲第5番「ヒロシマ」は、1953年作曲された。
「序奏」は時間が過ぎていくような時の刻みが表現され、
原爆により混乱した世界、そして異様な静寂の世界が描かれる。
「幽霊」の楽章では「運命リズム」に基づき、荒涼とした中、
被爆した人々の悲惨な状況が、再現されていき、
やるせない運命的なものを感じさせる。
「火」の部分は燃え盛る炎の勢いを感じさせる音楽である。
「水」の音楽は水を求める人々のやるせない世界が、
延々と続いていくかのような沈鬱な感じで表現されていく。
「虹」は幻想的で色彩感のある短い音楽である。
ここでは「冥界の動機」と呼ばれる旋律が登場する。
「少年少女」は、「虹」から引き続き「冥界の動機」を扱う。
彷徨い続ける少年少女の姿が弦楽器とフルートによって表現され、
それはショスタコーヴィッチ的な深遠な世界でもある。
「原子砂漠」の楽章は、静寂な中で下降する音が、
流れ落ちていく閃光のようでもあり、冥界的でもある。
「悲歌」は全楽章の中で長大であり、
悲惨な被害を受けた人々の厳しい現実と、
それに対するレクイエム的な要素と、
一瞬にして人類に破壊と死をもたらす原爆の恐怖、
これらを交互に織り交ぜている感じである。
起きてしまった歴史の中の事実とその後の現実を、
『原爆の図』にあるようにリアルに表現しながらも、
そこに突きつけられているのは単純な解決ではない。
だからこそ、最後の終わり方はハッピーエンドではない。
そこには簡単に解決しえない未来にも続いていく
人類に課せられた重い課題が横たわっている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柴田南雄のシンフォニアを聴きながら、横浜から和田町まで歩く

2008-11-16 06:44:09 | 古典~現代音楽日本編
昨日は和田町から横浜まで歩き、
そのあと横浜から和田町まで歩きました。
途中聴いたのは1916年生まれの柴田南雄の作品。
略歴については以前、器楽曲・室内楽曲編で触れたので省略する。
シンフォニアは、日本フィルの委嘱により、1960年作曲された。
全体は急-緩-急の3部から構成されており、
第一部はアレグロ、第二部はアダージョ
第三部はアレグロ、そしてコーダとなっている。
第一部は冒頭から打楽器と弦楽器により、緊張感あふれた音楽が、
展開され、金管楽器が加わり荒々しさを加える。
そのあとあとフルートやオーボエなどが入り、
ポリフォニック的な音楽が展開されていく。
銅鑼の音が鳴り響き、ゆったりとした第2部に入る。
荒涼とし神秘的な雰囲気を生み出す打楽器群と、
やや情熱的な部分を持つ弦楽器群が何度か交替して演奏する。
ボンゴと木琴により軽快に始まる第3部は、
シリアスで、再び緊張感のある音楽である。
最後は終わる感じではなく、期待しないところで突然終わる。
まだ続きがあるような余韻がそのコーダには残されている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする